6/11(火)関西大学社会安全学部×産経新聞「危機の時代」が開催されました

関西大学社会安全学部×産経新聞「危機の時代」(第5回)は「外国人"依存"社会による公衆衛生リスク」と題して、高鳥毛敏夫教授と辛島恵美子教授の講演を行いました。

高鳥毛教授は、外国人と感染症との関係についてまず歴史からみた話をされました。現在、観光客が急増し、本年4月入管法が改正されたことから外国人労働者の受け入れが本格化します。すでに、外国人の結核患者が増えています。感染症増加のリスクがあります。しかし、外国人労働者を「生活者」としてうまく受け入れて日本人との共生社会をつくることができれば、今の公衆衛生体制が保たれているとリスクとはならないと強調されました。

辛島教授から、人々の体内に存在している腸内細菌叢(マイクロバイオータ)の性質とその働き、外国のフードの増加による健康上の利点をお話しされました。そのうえで食の安全の考え方には黒白を明確にでき難い灰色領域(グレーゾーン)があり、この取り扱いは難しく、その一例に、欧・米貿易戦争ともいわれる"成長を早めるホルモン剤を打与した牛肉"の科学的安全問題を取り上げられました。このような解釈の分かれる灰色領域は他にもたくさんあり、文化的伝統的な食材や調理法をめぐる安全論争もその一つです。多様な文化共存時代では、皆が健全な食生活を送るために、食品表示を国際的にわかりやすいものにすることで、是非や好悪論争の前に、まずは選択の自由を確保する配慮こそ日本のおもてなしの精神にとって重要ではないかと強調されました。