【関大社会安全学部 リレーコラム】実は関係が深い温泉と地震
ゴールデンウイークはいかがでしたか? キャンプやハイキングを楽しまれた方も多いと思います。ハイキングの後の温泉は最高ですね。関西には温泉が多いのでとても便利です。関西大学社会安全学部のある大阪府高槻市でも、ちょっと山に入ると風情のある温泉があります。
関西の温泉といえば、神戸市の有馬温泉が有名ですね。そして、有馬から高槻にかけて、有馬―高槻断層帯があります。高槻にも温泉があることから、温泉は断層に関係が深いことが分かります。断層とは地盤や岩盤にずれがあるところですから、確かに水の流れとつながりが深そうですね。私の自宅近くにも地下深くからくみだした温泉があるのですが、地下深くに断層があるのかもしれません。
ところで、地震は断層が動くことで生じます。では、温泉がないところは断層がなく、地震について安全なのでしょうか?
残念ながら、それは分かりません。すべての温泉が見つかっているわけではなく、すべての断層が見つかっているわけでもないから、当然ですね。科学技術の進歩によって、さらに地下深くから温泉をくみだすこともできるかもしれないし、さらに地下深くの断層が見つかることもあるかもしれません。
地震は怖いものですから、できれば地震が起きないところに住みたいものです。でも、地震が絶対に起きないといえる場所はありません。それなら、地震が起きる可能性は覚悟して、地震の被害が起きないように備えつつ、温泉を楽しもうじゃありませんか。
(関西大学社会安全学部教授 一井康二)(2018-05-15・産経新聞 大阪夕刊・3ページ掲載)