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【芝井の目】スポーツの意義について

2018.07.26

 皆さんはこれまで、スポーツの意義や価値について考えたことがあるでしょうか。スポーツの多様さや差異を越えて、いまスポーツ一般が人間にとって持っている意味を問うこと、またそうした作業を通じてスポーツの意義を確認しておくことは大事なことだと考えます。
 今年のアメリカン・フットボールの話題は、アメフトという一つの競技、さらに広く大学スポーツ一般、そうした局限された小さな世界をやすやすと超えて、日本社会全体のあり方に関わる大きな社会問題へと発展していきました。言うまでもなく、日大アメフト部の選手による危険なタックルが、そのきっかけになりました。それだからこそ、とりわけこの競技に関わる皆さんには、ぜひ考えてほしいと思います。
 意義を問うという言い方が堅苦しいのであれば、「私はスポーツから何を得たのか」を問うてみてもいい。「スポーツは私に何を教えてくれたのか」と考えてみてもいいでしょう。
 スポーツの意義について考えるときに、一つの手がかりになるのが、ユネスコのスポーツに関する国際憲章です。ユネスコに集まった世界の人びとが真剣に考えたからでしょうか、そこにはスポーツの意義について、12の答が書きこまれています。
 まず当然のことに、人がスポーツを通じて直接に味わうことのできる「楽しさと喜び(fun and enjoyment)」があります。そしてこれに加えて、「フェアプレイ(fair play)」 、「平等(equality)」、 「正直(honesty)」、「卓越(excellence)」、「責任(commitment)」、「勇気(courage)」、「チームワーク(teamwork)」、「ルールと法規にたいする尊敬(respect for rules and laws)」、「自己と他者にたいする尊敬(respect for self and others)」、「コミュニティ精神(community spirit)」、「連帯 (solidarity)」などが挙げられていて、スポーツはこうした多くの価値を私たちに教えてくれるとしています。
 どうか、ユネスコが示した12の答を参考にして、自分自身の心に問うてください、スポーツの意義を。スポーツに真剣に向き合っているあなたの健闘をお祈りしています。

7月26日 学長 芝井 敬司