KANSAI UNIVERSITY

関西大学

KU SMART PROJECT

活動報告

2016(平成28)年度の進捗状況(.pdf)

「人に届く」関大メディカルポリマーによる未来医療の創出 1年間の活動報告

事業概要  本学は、医工薬連携研究センターを中心に、特に材料化学に立脚したメディカルポリマー研究を推進してきた。
 本事業は、この実績を広報戦略「社会とつながる研究」と定義し、本学が開発中の未来医療を革新する材料=関大メディカルポリマー(KUMP)をブランドと位置づけ、「世界の人々に届く」日本発の医療器材を開発し、医療基盤を支えるものづくりの重要性の発信と、今まで実現し得なかった未来医療への貢献を目指している。
事業目的  本学では、平成15年度に医工薬連携研究センターを創設し、医系大学や医療機関との連携を推進しており、従来から、医用高分子材料=メディカルポリマーの研究において、卓越した成果を挙げてきた。特に大阪医科大学との間では平成15年に医工連携に関する協定を取り交わし、連携を強化してきた。医療器材の実用化には、臨床医からのニーズの把握、デバイス・システム化を達成する機械工学的手法も重要である。本事業では、材料化学者が中心となって、機械工学者と臨床医との協力を得て、臨床現場=人(患者と医師)に届く医療器材を開発することを目的とし、人に届く「関大メディカルポリマー(KUMP)」としてブランド展開する。最終的には、実施企業の参画を得て、高い国際競争力を有し、臨床現場(人)に届く、メイドインジャパンの優れた医療器材を実用化(製品化)することを目標とする。さらには、日本の「ものづくり」力の先端医療機器開発における重要性を広く国内外に発信し、KUMPを世界ブランドとして確立する。
平成28年度の実施目標及び実施計画
研究実施計画(関大メディカルポリマー)
臨床医との議論および国際市場調査により、臨床現場のニーズと問題点を把握・再確認し、以下の2テーマについて、KUMPの分子設計および合成・調製方法の確立を行う。
Ⅰ.「体内で形を変える・吸収される」スマートKUMPによる新規治療システムの構築
  1. Ⅰ-1. 開発目標となる性能や数値を実現するKUMPの分子設計とその合成方法の確立
  2. 1)体温で1分以内にゲル化し、その後体内でゲル状態を10日以上維持するゲル化ポリマーの合成方法の確立
  3. 2)酸性(pH=5.0)、中性(pH=7.4)、弱アルカリ性(pH=8.0)のそれぞれの条件のみでゲル化するポリマーの合成手法の確立
Ⅱ人にやさしい・患部に届く」診断・治療の非侵襲化・スマート化を実現するKUMPの作成
  1. Ⅱ-1. 薬物キャリア用KUMPの設計、ポリマーの合成方法およびポリマーナノ粒子作成方法の確立
  2. 1)生理的条件下で体内投与レベルまで希釈した場合(1x10-7mg/mL)でも安定なヒアルロン酸被覆ポリマーナノ粒子の作成および薬物内包
  3. 2)高骨結合能(結合定数106以上)を有するポリリン酸エステル(PEP・Na)の合成手法の確立
  1. Ⅱ-2. 心肺機能や視野異常などの情報を非侵襲的に取得する試作機とそのデータ解析システムの作成
  2. 1)心臓カテーテルを用いた侵襲的手法および超音波エコーを使用した非侵襲的手法による肺高血圧症の診断技術の確立
  3. 2)患者の負担が少なく計測場所を選ばないヘッドマウントディスプレイ式の新規視野計の試作
事業展開実施計画(予算・人的措置・広報・教育)
  1. ①全学的な優先課題として推進することについての機関決定および予算措置を行う。
  2. ②医工薬連携研究費による研究助成(学内公募)を行い、採択する。(2件)
  3. ③研究支援専門人材(特命助教、RA、URA、コーディネーター)を任用する。
  4. ④ニュースレターの発行および関係団体へ配布する。(1000部)
  5. ⑤公開シンポジウム(先端科学技術シンポジウム、1月)における研究活動を公開する。
  6. ⑥大学HPに特設サイトを開設し、採択後のプレスリリース(3回)や記者向け情報発信(1 回)、新聞広告(3回)、雑誌広告(1回)、学内発行冊子掲載(2回)等での広報展開を行う。
  7. ⑦大学院においてKUMP特設科目群授業を開講、大阪医科大学の医工連携科目での講義(非常勤講師)の実施、大阪医科大学との間で大学院生を交換派遣の募集を開始する。米国クレムソン大学バイオエンジニアリング専攻に学部学生・大学院生の派遣の募集を開始する。
  8. ⑧バイオマテリアル科学分野の学部学生向け教科書の発行準備を行う。
平成28年度の事業成果
主な研究成果
  • Ⅰ-1-1) 温度応答型インジェクタブルポリマー(IP)の開発において、体温で1分以内にゲル化し共有結合を形成して、体内でのゲル状態の維持期間を1-90日の間で制御可能なIPの合成方法を確立した(ACS Biomater. Sci. Eng.)。さらに、ラット癒着モデルを作成して、癒着防止効果の動物実験を実施した。
  • Ⅰ-1-2) 癌(酸性、pH=5.0)、通常組織(中性、pH=7.4)、腸内(弱アルカリ性,pH=8.0)などのそれぞれの条件の場合のみゲル化するIP製剤を容易に作成する手法を確立した(J. Biomater. Sci. Polym. Ed.)。
  • Ⅱ-1-1) 体内投与時濃度以下の(1x10-9mg/mL)でも安定な肝類洞内皮細胞を標的としたヒアルロン酸被覆ポリマーナノ粒子を作成方法を確立し、肝硬変治療薬の内包にも成功した。
  • Ⅱ-1-2) ポリリン酸エステル(PEP・Na)の合成に成功し、それにより作成したナノ粒子がリン酸緩衝生理食塩水中でも骨成分であるHApに高い親和性で結合する(結合定数106以上)こと、破骨細胞の機能低下に有効であること、骨粗しょう症治療薬ビスフォスフォネートよりも低毒性であることなどを見出した(Colloid Surf. B. Biointerf.)
  • Ⅱ-2-1) 心臓カテーテルを用いた侵襲的な肺高血圧症の診断技術を確立し、臨床研究を実施し、臨床データとの良い一致を確認した。同時に超音波エコーを利用した非侵襲的な肺高血圧診断手法に関する基礎的データを取得することに成功した。
  • Ⅱ-2-2) AMEDの支援を受け、緑内障の早期発見を目的とした患者の負担が少なく計測場所を選ばないヘッドマウントディスプレイ式の新規視野計の試作機の作製に成功した。
    また、上記に関連し、平成28年4月からの先行研究を含め、論文発表:17件、図書:3編、総説:7件、国際学会発表:104件(うち招待講演9件)、国内学会発表件数:178件(うち招待講演8件)、学生および教員の学会における受賞:17件の成果を得た。
主な事業展開実施状況(予算・人的措置・広報・教育)
 事業展開実施計画(①~⑧)について、全て計画どおり実施した。特に、⑥について、本事業により打ち出すブランド「関大メディカルポリマー(KUMP)」の周知に重点を置いた広報活動を実施した。手法としては、本事業に関する特設サイトの設置とWEB広告によるサイトへの誘導施策、新聞・雑誌広告等を実施し、施策実施前に比べて約4.7倍のサイト訪問(1日当たりの訪問数(平均)が85.5件から400件に増加)を得た。また、⑤について、ターゲットを絞った働きかけ(プロモーション活動)として、医療関係者、研究者、企業関係者等を対象としたシンポジウムを、当初計画以上の2回開催(於:関西大学千里山キャンパス、梅田キャンパス)し、計約200名の参加を得た。さらに、展示会「メディカルジャパン2017」での活動紹介等(来訪者124名)も追加で実施するなど、当初計画以上の成果を得た。
 以上のように、研究活動・事業展開活動共に順調に進捗した。今後は、実用化に向けてさらに密接な臨床医との連携関係の確立を目指すとともに、インナー広報とアウター広報の両面から積極的な広告展開を行い、KUMPの認知度拡大を目指す。
平成28年度の自己点検・評価及び外部評価の結果
(自己点検・評価)
 研究プロジェクト内部の自己点検・評価を行った結果、採択以前から継続的に行っていた研究も含め、研究テーマはほぼ計画通りに進展した。特に採択を機に、大阪医科大学との共同研究におけるモチベーションが大きく向上し、研究の進展に寄与した。また、本学の全学的評価組織である、外部資金審査・評価部会(副学長の下に副学長指名メンバー若干名で構成)及び学長を座長とした戦略会議において進捗状況の確認(PDCA)を実施し、研究活動、事業展開活動共に採択初年度として着実な成果が挙がりつつあることを確認した。課題としては、KUMPの実用化に向けたプロセスの具体化や、展開戦略の明確化の必要性に加え、広報面では、大学の将来ビジョンとのさらなる連動や世界展開を意識したダイナミックな広報施策の必要性について意見があり、次年度以降の活動計画に反映する。
(外部評価)
 申請段階より本事業への助言を受けている医工薬系の有識者3名を評価委員に選定し、平成29年3月に評価を依頼した。結果について、研究活動では、採択初年度で実施期間も短く、実質的な個別成果や進捗状況を詳細に評価できる段階ではないが、次年度さらなる進展が見込まれると評された。事業展開活動では、「大学側の熱意が感じられる」旨の順調な進捗が高く評価された。今後、基礎研究や実用化研究の区別やバランスを明確にして進めること、事業で求められるニーズに対しての役割やアプローチによる成果と実用化に向けた医工連携状況を明示すること、また、実用化研究に伴うPMDA事前相談等を早期に進めることなどについても助言を得た。広報活動については、本年度は周知活動を中心に実施したが、今後は、広報対象からの反応を測定する手法の構築などの工夫が必要との助言を広告代理店より得た。これらの外部評価結果を踏まえ、次年度以降は、実用化に向けた研究の進展と連動したブランディング戦略を構築し、事業のさらなる展開につなげる。
平成28年度の補助金の使用状況  本年度は、施設・設備整備費補助金75,479千円、経常費補助金32,832千円に、自己資金81,420千円を加えた合計189,731千円により事業を実施した。主な使途としては、KUMPの作成に必須となる2件の研究装置及び5件の研究設備に加え、研究費として主に試薬等消耗品費、器具備品費、RA人件費、出張旅費等に使用した。また、広報・普及費として、新聞広告費、WEB広告費、プロモーションビデオ作成費等に使用した。
 なお、補助金の使途を含めた本事業の予算については、常任理事会により機関決定のうえ予算措置を行うとともに、全学的な支援体制(広報課、研究支援・社会連携グループ、先端機構グループの連携)により、計画的かつ適正な執行管理を行っている。
KUMPプロモーション施策一覧
ブランドロゴ

KUMP

ブランドロゴの設計

Webサイト

関大メディカルポリマーwebサイト

KU-SMART PROJECT専用のホームページの開設(http://www.kansai-u.ac.jp/ku-smart/)

PRビデオ

PRビデオの制作

雑誌広告

雑誌広告

2017年2月15日発行「週刊新潮」掲載
関西大学ニューズレター『Reed』2月号No,48 掲載

新聞広告

雑誌広告

2017年2月21日 毎日新聞掲載
2016年12月10日 読売新聞掲載
2017年1月1日 産経新聞掲載

展示会への出展

メディカルジャパン展示会ブース

メディカルジャパンへの出展
展示ブースとグッズの制作

バナー

バナー(プロジェクト紹介)

Webバナー制作(Yahoo!、GoogleのADバナー、医療系ポータルなどで掲載)

クリアファイル・付箋

クリアファイル&付箋

クリアファイル・付箋などノベルティグッズ制作

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