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コラム 「創設10周年記念シンポジウム」を終えて

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大学院会計研究科長
三島徹也

 関西大学会計専門職大学院は、711日(土)13:00から『会計専門職教育の課題と展望』というテーマで、創設10周年記念シンポジウムを開催した。また、これは関西大学創立130周年記念事業の一環としても実施された。概要は次のとおりである。

平成27711日(土)13:0016:10
関西大学千里山キャンパス第2学舎2号館 C303教室

〈第1部〉報告会
1.山田拓幸氏(公認会計士関大会前会長) 
   『公認会計士から見た会計専門職教育』
2.島崎憲明氏(元住友商事株式会社代表取締役副社長、大学院会計研究科客員教授)
   『企業から見た会計専門職教育』
3.三島徹也(大学院会計研究科長) 
   『関西大学会計専門職大学院の10年の歩みとこれから』
コーディネーター:富田知嗣(大学院会計研究科教授)

〈第2部〉討論会
テーマ『会計専門職教育の課題と展望』
コーディネーター:富田知嗣
パネリスト: 島崎憲明氏、三島徹也、玉置栄一(大学院会計研究科特任教授)
総合司会: 宮本勝浩(関西大学名誉教授)

 最初に宮本勝浩名誉教授の開会宣言から始まり、次に私(三島)が本日のシンポジウム開催に際して挨拶をさせていただいた。そして、会計大学院協会理事長の杉本徳栄先生により創設10周年およびシンポジウム開催の祝辞を頂戴した。
 続いて報告会が開始され、最初は山田拓幸先生に『公認会計士から見た会計専門職教育』というテーマで講演いただいた。会計の学習が将来どのように役に立っていくのかということを中心に、会計の学習の際に会計専門職大学院と公認会計士受験専門学校との役割の違いを踏まえて学習する必要があるなど明らかにして、キャリアのあるベテランの公認会計士からその経験に裏打ちされた説得力のある講演であった。次に、島崎憲明先生に『企業から見た会計専門職教育』というテーマで講演いただいた。この講演の中で、島崎先生は、ご自身の副社長まで務められた住友商事におけるご経験からお話をされ、会計は英語と並んで、企業人が備え持つべき標準装備ととらえられ、今や、ビジネスの現場や経営幹部には会計情報を活用できる能力が必要であって、様々な営業活動に会計記録などの数値情報の活用が不可欠であるとされた。最後に、私(三島)は『関西大学会計専門職大学院の10年の歩みとこれから』というテーマで報告させていただいた。ここでは、会計専門職大学院とは何かということを根本からとらえ直し、「会計専門職業人養成とは何を意味しているのか」について考察し、わが国において会計専門職大学院が登場してから今までどのような経緯をたどったのか、そして、最後に関西大学会計専門職大学院はこの10年間どのように取り組み、そして今後もますます会計専門職業人養成が社会的に必要とされていることを確認し、どのように歩んでゆくのかということを述べた。
 10分間の休憩を挟んで、次に討論会が行われた。討論会ではいろいろな立場の方からご意見を頂戴した。会計大学院協会理事長の杉本先生や、本研究科と連携関係にある指定校の先生方、公認会計士受験専門学校の先生方、本学商学部の先生から様々なご質問・ご意見を頂戴した。たとえば、「会計専門職大学院修了者の科目免除はどれだけのメリットがあるか」、「公認会計士を目指して進学している学生にしっかりと教育をお願いしたい」、「公認会計士を目指さない学生に対して会計専門職大学院に進学することの意味についてもっと周知してほしい」、「会計を学習する道に進む人が減少しているがどのような対策をとっているのか」、「考えさせる会計教育という意味で会計専門職大学院の役割を果たしてほしい」など多くのご質問・ご意見が寄せられ、パネリストによる丁寧な回答がなされた。また討論会からパネリストとして加わった本研究科特任教授の玉置先生からも最後に、社会力・創造力・適応力をそなえ持った「考える会計人」の養成が必要であるという意見をいただいた。
 現在において会計専門職大学院は厳しい状況にあり(学生募集停止や定員割れなど)、また学生の「会計離れ」とも言われているが、このシンポジウムを通じて、私はわが国の経済社会においては会計専門職業人がまだまだ不足しており、その必要性が各場面で増してきている(例えば、監査法人における会計士不足、企業における経営管理を行うことができる能力としての会計人材の必要性など)ということを確信した。我々はこの会計教育が重視され必要とされているということを肝に銘じて、より一層充実した教育を行っていく必要があることを再認識させられた。
 今回、講演いただいた先生方やご意見を頂戴した方、またご参加いただいた方には、御礼申し上げるとともに、今後とも関西大学会計専門職大学院を支援いただきますようよろしくお願いいたします。
                                                                以上

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