センター長退任・就任のご挨拶
このたび、4年間にわたりセンター長を務めた河田 悌一が退任、新たに前田 裕(前学長、常務理事・名誉教授)がセンター長に就任いたしました。
新センター長の前田裕より就任のご挨拶、河田悌一より退任のご挨拶を申しあげます。
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就任のご挨拶
関西大学東京センターの開設は2003年に遡ります。
開設以来、関東圏において、関西大学の「今」や「人のちから、知のちから」を発信する拠点として、東京における関西大学のキャンパスとして、さまざまな活動を展開しています。
現役の学生の皆さんにとっては、関東圏での就職活動の拠点としての役割を果たしています。
加えて、関東圏出身の学生、その保護者の皆さまのご相談の拠点としても、また、関西大学に関心をお持ちの、この地域の高校生や保護者の皆さまのための情報発信の場所として、大学の関係各部局と連携し、交流会や説明会、資料の提供等を行っています。
さらに、卒業後はこの東京センターを、学部や研究科、世代の枠を超えて、「学縁」を結び、交流、親交を深める場として活用いただいています。
例えば、関東を中心に活動されている校友の皆さまの集まりである関西大学東京経済人倶楽部は、まさに東京センターを拠点に活動を続けていただいています。
東京駅に隣接するサピアタワーにあるという地の利を生かし、企業、官公庁、教育機関等を対象に、関西大学の最新の教育や研究の成果を発信することは言うまでもなく、長い歴史に育まれてきた大阪・関西の文化や伝統を広く伝えることは、大阪・関西に立地する関西大学の使命でもあり、関西大学だからこそできることです。
文化、経済、科学技術等、多様なテーマで公開講座やセミナー等を、これからも積極的に開催していく所存です。
2025年4月、関西大学では15年ぶり、14番目となる学部「ビジネスデータサイエンス学部」が吹田みらいキャンパスに誕生しました。
時同じくして、関西大学が立地する大阪では、55年ぶりとなる大阪・関西万博が開幕しました。
また、関西大学が舞台となった映画「今日の空がいちばん好き、とまだ言えない僕は」も全国で封切られました。
例年にも増して、日本だけではなく世界から、大阪・関西、関西大学に注目が集まる今、ステークホルダーにとどまらず、より広く多くの皆さまに愛される東京センターを目指しております。
関西大学の東京にあるキャンパスとして、引き続き、温かいご支援並びにご指導を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
関西大学東京センター
センター長 前田 裕
退任のご挨拶
"ミステリーの女王"と呼ばれたアガサ・クリスティは、人生において幸せな幼少時代を過ごすことが大切だ、と述べています。
もちろんこの意見に賛成です が、私は"良き師"に出会うことがより重要である、と考えています。
人生を振り返ってみますと、銀閣寺近くの北白川小学校の恩師、池永正治先生は「何事も一生懸命に取り組め」と、同志社中学の平岡澄江先生は「困っている人を助けよ」と言って宗教部に導かれ、府立鴨沂高校で日本史の先生だった上田正昭先生(京都大学名誉教授)は「これからは中国の時代だから、中国語や中国の思想、文化を学べ――」と教えられた。
また、大阪外国語大学の恩師 伊地智善継先生(元外大学長、元関西大学文学部教授)は、新聞記者になるという私の志望を聞いて、学者になって中国共産党の思想的文化的な底流を解明するように勧められた。
さらにアメリカのイエール大学とプリンストン大学で師事した余英時先生は、学んだことを蓄積することなく「経世済民(世をおさめ民をすくう)」つまり学んだことを実際に活用することの重要性を教えてくださいました。
今年、傘寿を迎える私の人生は、これらの諸先生から教えられた道を歩んできたといっても過言ではありません。
1986年に関西大学に赴任して、今年で39年。最初のゼミ生の皆さんは本年還暦を迎えられます。
多くの学生諸君と切磋琢磨し、教職員の方々と協力して創立139年を迎える関西大学の存在価値を高めるため、頑張ってこられたことを嬉しくかつありがたく思っております。
とくに、2021年4月から4年間、この東京センターにおいて、入学希望者やそのご父母、在学生諸君、さらに関西大学を卒業され企業、官庁、教職に従事したり、新しい事業の立ち上げに活躍されたりしている多くの方々と交流を持つことができて、私は素晴らしい大学にお世話になった――と心から感謝の念を抱いております。
江戸時代の学者、佐藤一斎はこう申しています。
「少にて学べば、則ち壮にして為すことあり。壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず。」と。
私も「死して朽ちぬ」よう学び続けたいと思っておりますので、これからもよろしくご厚情のほどお願い申しあげます。
河田 悌一