【報告】2022年度 第2回関西大学東京泊園塾「大塩平八郎を問う~与力と文人の『反乱』~」を開催しました(2022年12月10日)
◆実施内容はこちら◆
12/10(土)「2022年度 第2回・関西大学東京泊園塾」を開催しました。
対面形式にて行い、36名の方が東京センターにお集まりくださいました。
今回のテーマは「大塩平八郎を問う 与力と文人の『反乱』」です。
○第1講○
関西大学名誉教授の藪田 貫 先生より「『大塩平八郎の乱』とは何であったのか」と題して講演いただきました。
<大塩平八郎の乱>天保八年二月十九日、突如大坂で起きた武装蜂起。大坂の町に砲声が轟きわたり激しく火の手が上がった。挙兵自体は半日で鎮圧され失敗に終わったが、幕府の元役人(大坂町奉行所の与力)だった大塩が、「救民」を掲げ、重要な直轄地である大坂で反乱を起こしたことは、世間に大きな衝撃を与え、その後の倒幕運動にも大きな影響を及ぼした。
・「救民」のための反乱でありながら、結果的に「窮民」を生むことになってしまった皮肉。
なぜ江戸に対するために大坂の町を丸焼きにする必要があったのか?
(市内のおよそ1/6が火災にあったとされる)
・鎮圧から約40日間、市中で潜伏を続けていた大塩。
敗軍の将が自決することなく隠れ続けたのはなぜか?
そもそも、どこで匿われていたのか?
・どのようにして江戸(幕府)の情報、動きをつかんでいたのか?
どういうふうに文人ネットワークを作り、大名家とどう付き合いをしていたのか?
また密かに江戸へ送っていた「建議書」で彼は何を訴えようとしたのか?
150年以上の時を経て、次第に明らかになってきた事件の背景。
大坂の庶民から「大塩様」と尊敬されてきた彼が、何を憂い、なぜあのような作戦に至ったのか。
まさにタイトル通り、「大塩の乱とは何だったのか?」について深く考えさせられる講義でした。
○第2講○
帝塚山学院大学 リベラルアーツ学部教授の福島 理子 先生より「文人 大塩平八郎」と題して講演いただきました。
町奉行所与力でありながら、教育者(陽明学者)でもあり、さらに文人(書画・詩文)としても類まれな力量と教養をもっていた大塩。
『洗心洞詩文』に収められた145首の漢詩から、花にまつわる数詩をとりあげ、花を愛で、人を慈しみ、市井の人々に温かな視線をおくる、彼の内面について紐解くヒントを与えていただきました。
「大塩の乱」の文脈だけを切り取ると、「厳しく険しい」「短気で直情型」という性格で評される大塩ですが、詩文からは、たおやかで繊細な人柄が伝わってきました。
清廉な政治をする人物として敬意を払われていたというのも頷けます。
彼にとって全く予期していなかったあるきっかけに翻弄され、そこから思わぬ人生を歩んでいったのではないかとイメージすることもできます。
歴史を顧みる際、どうしても結果から入ってしまいがちですが、何も知らない目線に立ち戻って彼をみる必要があります。
ある結果に向かっていく、その元から細かく追っていくことの大切さと難しさを改めて考えさせられる、大変意義深いセミナーとなりました。
○パネルディスカッション○
関西大学東京センター長の河田 悌一 先生がファシリテーターとなり、藪田・福島 両先生らによるパネルディスカッションを行いました。
・誰よりも国を憂いているのに、それを認めてもらえない大塩の胸中
・「なぜ乱をとめることが出来なかったのか。 思いとどまらせて町を焼かない道は無かったのか?」と悔しがった坂本鉉之助の葛藤(「咬菜秘記」)
その他、会場からも多くの質問が挙がり、大変盛会のうちに終了しました。
ご登壇いただきました講師の先生方、そして参加者の皆様、どうもありがとうございました。
【★新刊のお知らせ★】
今回ご講演いただいた藪田先生の新刊「大塩平八郎の乱-幕府を震撼させた武装蜂起の真相-」が12/20(火)より、全国書店にて発売されます!
今回の講演のテーマ「大塩平八郎の乱」についてさらに深く知ることができる1冊となっておりますので、ぜひお手に取ってご覧ください。
°˖✧˖°✧実施内容°˖✧˖°✧
今年4月、森鴎外の「大塩平八郎」が文庫版として再刊されました。
鴎外が、大正3年(1914)に発表したもので、100年以上も前のことです。
いかに長く、大塩平八郎に対する関心が続いているのか、興味深いものがあります。
そこで、あらためて大塩平八郎とは何者か、その乱とは何であったかについて、考えてみたいと思います。
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<講座概要>
■日 時: 2022年12月10日(土) 13:00~16:00 (受付開始12:30)
■会 場: 関西大学東京センター
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー9F
■定 員: 120名(新型コロナ感染症の感染状況により変更する場合がございます)
■受講料: 無料
■主催・お問い合わせ先:関西大学東京センター
電話 03-3211-1670/メール ku-tokyo@ml.kandai.jp
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<プログラム>
【第1講】 13:00~13:45
「大塩平八郎の乱」とは何であったのか
関西大学名誉教授/藪田 貫 氏
大坂町奉行所与力として辣腕を発揮し、さらに学者・文人として豊かな交友関係を築きながら、飢饉の最中に決起した大塩平八郎については昔も今も、毀誉褒貶が甚だしい。
そんななか真摯に大塩を理解しようと努め、「なぜ止められなかったのか」と自問自答した砲術家坂本鉉之助を通して、乱とは何かを考えます。
【第2講】 13:45~14:30
「文人 大塩平八郎」
帝塚山学院大学 リベラルアーツ学部教授/福島 理子 氏
大塩平八郎が賦し残した詩は、『洗心洞詩文』(明治12(1879)年刊行)所収の145首と遺墨に見ることができます。
そこから浮かび上がるのは、散策と詩作に慰謝を求める孤独な姿です。
漢詩人としてのたしかな技法に支えられた大塩のリリシズムを味わいましょう。
【休憩】 14:30~14:45
【パネルディスカッション】 14:45~16:00
パネリスト/藪田 貫 氏、福島 理子 氏
ファシリテーター/関西大学東京センター長 河田 悌一
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