用途・応用分野
多種多様な17の目標を包括するSDGsは、ともすれば特定の目標だけを追求する研究に限定されたり、それらの目標を包括するパラダイムが⾒失われたりするしかたで受け取られやすい。文学部品川哲彦教授が進めている標記の研究は、諸目標の相互連関性とひとつのパラダイムが構築されるべき必要性の確認に寄与する。
概要
環境保護と経済成⻑の両⽴という従来の課題を、SDGsは、経済のグローバリゼーションがもたらす格差の是正や社会的弱者への配慮を含むまでに拡⼤し、社会全般の構造改⾰を⽰唆している。自然に過重な負荷をかける経済活動によって得られた富を所有する権利やそれを支える正義の概念についても再検討が加えられるべきである。標記の研究は、権利と正義を基底とする倫理理論に異議を申し立てる二つの倫理理論、すなわち、誰もが傷つきやすいケアされるべき存在であると指摘し、「誰⼀⼈取り残さない」を目標とするケアの倫理、地球全体規模の環境破壊を阻んで未来世代を存続せしめる現在世代の責任を説いたヨナスの責任原理を研究するとともに、異議申し⽴てに対する正義論内部の反応を研究することで、SDGsの理論的な基礎づけに寄与するものである。
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