概要
経済学部 土居潤子 教授は、経済成長に関する研究をしている。その中で、途上国の発展と貧困削減のための政策に関する研究では、暴力的紛争に注目した研究を行った。暴力的紛争は、人々の生命を危険にさらし、インフラを破壊することで、経済を停滞させる。にもかかわらず、暴力的紛争は低所得の国のほうが起こりやすいと、言われている。例えば、 所得が半分になると戦争リスクは2倍になるとポール・コリアー教授は『最底辺の10億人』(邦訳:『最底辺の10 億人 : 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か ?』ポール・コリアー著,中谷和男 訳,日経 BP 出版センター,2008 年)という本の中で指摘している。経済成長が停滞し、絶対的貧困の状態が長く続くと、人々は未来に対する希望が持てなくなるだろう。逆に、反乱組織に参加することで、豊かになれるかも、という期待を持たせることになる可能性がある。このような状況にあるとき、政府が取るべき政策は、軍を強化して反乱を抑えることだろうか、それとも、経済成長を優先して人々を豊かにすることだろうか。どのような場合に、どちらの政策が望ましいかを、経済モデルを構築して検討した。