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こころの健康に関するコラム
地球はどうなる?

9月初旬、横浜で日本心理臨床学会大会に参加してきました。コロナ禍で行けなかった関東への久しぶりの出張です。まだ感染が完全に収束していないので、大会会場(横浜パシフィコ)の中は勿論ですが、電車の中や人込みでは出来るだけマスクを着用するようにしました。猛暑の中でマスクをして横浜の街を歩きながら、私は気持ちが暗くなっていることを改めて感じました。またパンデミックが起こるのでは? 気温上昇が止まらない地球はどうなる? ウクライナでのあの戦争はどうなる? やたらとミサイルを撃ち込んだり、経済・軍事力で領土を拡大したりしているあの近隣の国々が戦争を近いうちに仕掛けてくるのでは? 南海トラフ地震や巨大津波が今日明日にでも起こるのでは? 落ちぶれる一方の日本経済はどうなるのか?

ほかにも莫大なゴミの処理、乱開発による環境汚染、食糧問題、人口減少と高齢化社会・・・など、不安になることばかりです。私は残りの人生の方が少ないので何とか"逃げ切れる"のかもしれませんが、若い世代や今幼い世代、あるいは生まれてきていない世代の人たちはどうなるのか? と思うと、暗い気持ちだけでなく、申し訳ない気になります。出来ることは何でもしなくては、と思います。と言っても一体何が出来るのか? 自分の無力を感じています。

学会の終わった後で、最近読んだ「人新世の「資本論」」(斎藤幸平著、集英社)は「SDGsはアリバイ作り」という鋭い指摘が冒頭に書かれている刺激的な本です。まだ、私個人が何をすべきか?について、答はまだ見つかっていませんが、希望はまだあり得ることが見えたのは大きな救いです。

              関西大学人間健康学部・大学院 心理学研究科教授  中田行重