その他の講演・シンポジウム
開催報告
研究部門別発表会(第76回)を開催しました。
2025年6月26日(木)、関西大学千里山キャンパスに於いて、N(新物質・機能素子・生産技術)研究部門による研究部門別発表会(第76回)を開催いたしました。
当日は、本学 化学生命工学部 中井 美早紀 准教授、青山学院大学 理工学部 教授 長谷川 美貴 氏による講演が行われ、多数の方々にご参加いただきました。
【テーマ】 錯体化学が拓く生物無機化学と光材料化学分野の最前線
【講演①】 金属錯体が切り開く次世代型抗がん治療薬の開発
化学生命工学部 准教授 中井 美早紀
シスプラチンに代表される白金錯体のように、古くから金属錯体は抗がん薬として利用されてきた。金属錯体は、酸化還元に対して安定であるといった、有機化合物とは大きく性質が異なるため、有機化合物のみでは出せない特色がある。これらの金属錯体の特色を、 医療分野へ展開するための研究について講演した。
【講演②】 希土類を光らせる螺旋状の分子の設計
青山学院大学 理工学部 化学・生命科学科 教授 長谷川 美貴 氏
希土類イオンは混成軌道を作らないため、結合軸や配位様式の設計は経験に依存するところが多い。機能を司るf電子は内殻に孤立して局在化しているため、その電子スペクトルは、室温でも真空中極低温で測定した場合と同じように、極めてシャープに現れる。本講演では、講演者らが近年見出し、「RareEarthElements」と命名した目的に合わせた発光を示す一連の希土類錯体の開発について講演頂いた。