特別講演Special Lecture

東京大学 特別教授/信州大学 特別特任教授 堂免 一成 氏
東京大学 特別教授/
信州大学 特別特任教授
堂免 一成

ご講演テーマ
太陽エネルギーと水から水素を製造する光触媒システムの開発

我々は現在石油、天然ガス、石炭などの化石資源を大量に利用し、大気中に多量の二酸化炭素を排出している。その結果、地球温暖化による環境問題だけでなく、いずれは化石資源の枯渇によるエネルギー問題にも直面しなければならない。再生可能エネルギー、特に太陽エネルギーや風力、水力の利用が重要になってくるが、中でも太陽エネルギーはその量の豊富さから最も注目されている。太陽電池は既に実用化された技術であるが、太陽エネルギーを大量に使うためには、電気エネルギーだけでなく貯蔵・輸送が可能なエネルギー形態にも変えることが必要になってくる。このようなエネルギーとして現在最も有望と考えられているのが、水素、メタン、メタノール、アンモニア等の化学エネルギーであるが、中でも水からつくる水素は最も重要な分子と考えられる。本講演では、最近開発されつつある微粒子の光触媒を用いて水を直接水素と酸素に分解し、安全に水素を取り出す方法について現在の研究開発の状況について説明する。さらに将来このようなクリーンな水素を安価にかつ大量に製造するための課題についても考察する。

プロフィール

1982年東京大学理学系大学院博士課程修了。理学博士。東京工業大学助手・助教授・教授を経て2004年から東京大学大学院工学系研究科教授。現在は信州大学と東京大学のクロスアポイントメント教員。東京大学特別教授/信州大学特別特任教授。 主な研究分野は水分解光触媒、不均一系触媒、材料科学、表面科学。現在の研究テーマは太陽光を用いて水から水素を製造する光触媒の開発と実用化。光触媒分野の第一人者。2011年 日本化学会賞、2019年 2019 Advance of Catalysis Award of APACSなど受賞。

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