センター長からのごあいさつA Message from the Director, Center for International Education
発展する別科に期待されること:10年の実績を踏まえて

十年一昔と言いますが、留学生別科にとっての10年はそれほど遠い昔のこととも思えないほど、過去と現在が強くつながっている歳月だったように感じます。また私自身、大学執行部として、別科創設の準備段階から関わったこともあり、しかもその後、思いがけず国際教育センター長としてその運営に携わる機会をいただき、組織の誕生と成長を目の当たりにすることができ、これはたいへん幸運なことだったとも感じています。
実は前任校でも留学生別科の運営に関わっていたことがあり、そのときは毎年25名程度の留学生を相手に文字通り細々と教育を行なっていました。今から30年以上前の話です。本学の別科は、他大学の別科とは大幅に遅れて開設されることもあって、準備段階の構想として定員100名という数字を聞いたとき、学生の継続的な確保、さらには組織の持続的な発展に私は大きな不安を抱いていました。
しかし、これが私の杞憂であったことは誰もが知るところです。私の懸念を払拭してくれた背景には、南千里国際プラザというすばらしい環境のなか、先進的な教育を情熱をもって実践してくれる先生方、教員や学生をしっかりと支援してくれる事務局スタッフのみなさん、そして慣れぬ土地での学生生活を温かく見守ってくださる地域の方々、実に多くのみなさんの献身的な努力やサポートがありました。この場を借りて心より御礼申し上げたいと思います。
別科誕生から10年。この間、大学は国際化の大きな波に呑み込まれました。世界規模での高等教育の質保証の観点からはごく当たり前のことなのかも知れません。特に、英語による授業の充実や学位が取得できるプログラムの開発が期待されています。同時に、少子高齢化といった日本の社会情勢を考えたとき、日本を学びの場としてだけでなく、仕事の場としても魅力に感じてくれる若者を我が国に招き入れる努力も待ったなしの局面を迎えています。別科にとって次の10年とは、日本社会を支えるのに不可欠な日本語教育の拠点として、その使命が大いに期待され、そして実現される場所として成長する重要な時期なのだと考えています。
国際教育センター長山本英一
初代センター長からのごあいさつA Message from the First Director, Center for International Education
別科10周年記念によせて

2008年たまたま国際部長を拝命。留学生別科の設置準備に関わったチームの一人として、設立10周年記念に一言お祝いを申し上げます。出発は誰にでもできますが、時を超えて育てていくのは至難の業であります。
関西大学では、1982年4月「国際交流課」が設置されました。その後、さまざまな展開を経て、2010年には“Kansai University Global Initiatives”(GI構想)が策定され、2011年この構想の一環として「留学生別科設置」が発表されました。当時、全国には、大学・短大が設置する日本語別科は57校、民間の日本語学校は431校。また周りの大学で別科プログラムの失敗例などもあり、「なぜ 関西大学が別科を開設する必要があるか」などの疑問は内部からも聞かれました。このような状況―まさに失敗は許されないドキドキ感と新たな創造へのワクワク感―の中、後発の留学生別科設立には、独自の特色を打ち出すことが必要でした。国際部での設立委員会がその設計を担当しましたが、その合言葉は、「関西大学しかできないプログラム」を目指すことでした。
別科には、南千里国際プラザ留学生寮も併設。寮の竣工式に、「立派な学生寮を建てていただいたので、それに相応しい魅力のある中身の構築を目指していきたい。」と挨拶いたしました。モダンな寮は、魅力的ですが、中身(カリキュラム、教育、手厚い学生支援など)も素晴らしくなければ、リピーターは出ないと考え、全て敷居を高くした思いがあります。講師の先生方は、博士号や修士号を取得された教育研究経験者であり、カリキュラムでは、ICTやe-ラーニングを活用した日本語・日本文化学習などがその例です。実務サイドによる学生支援も、大切な要因です。
この10年間、多くの方が、関西大学別科を育てて下さり、今日の立派な別科があることを思い、皆様の熱意と弛まぬご努力に心から敬意を表します。今後のさらなる発展を祈念いたします。
初代国際教育センター長カイト由利子