関西大学出版部

カートを見る

多言語が織りなす中央アジア 
越境することば・交錯するアイデンティティ

New

電子書籍はこちら 
※丸善雄松堂「Maruzen eBook Library」と紀伊國屋「KinoDen」は機関向けです。

電子書籍 丸善 Knowledge Worker
電子書籍 Maruzen eBook Library
電子書籍 紀伊國屋 KinoDen
小田桐 奈美 徳永 昌弘 
タスタンベコワ クアニシ 櫻間 瑞希 編著
 
 
判 型 A5判
ページ 296頁
定 価 3,080(本体2,800円+税)
ISBN 978-4-87354-814-2
分類コード C3087
刊行年月 2026年03月
近刊

こちらよりご予約を承ります。発売日後のお届けとなります。
※クレジットカード決済の場合、ご予約の時点でお支払い手続きがなされます。

2026年4月10日(金)発売! ご予約受付中

独立後の中央アジア地域における多民族・多言語社会の実像と葛藤
言語を手がかりに、現代中央アジア5カ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス共和国、タジキスタン、トルクメニスタン)の国家と社会の実像に迫る学際的研究。現地調査を通じて、国家語・ロシア語・マイノリティ言語をめぐる政策と言語使用の実態を、社会言語学、文化人類学、教育学、経済学など多様な視点から分析した。

目 次
まえがき
凡例

第1部 現代中央アジアの言語政策
 第1章 キルギス語とロシア語は鳥の双翼か?
     キルギス共和国における公的な二言語主義のゆくえ
   1.はじめに
   2.なぜいま言語法に注目するのか
   3.国勢調査にみる言語状況
    3-1.民族別人口と調査票の概要
    3-2.母語
    3-3.第二言語
    3-4.キルギス語とロシア語の運用能力
    3-5.小括
   4.国家語と公用語に関する言語政策(1989~2023年)
    4-1.国家語の制定から公的な二言語主義の成立へ(1989~2004年)
    4-2.公用語の維持と国家語の優位の強化(2004~2023年)
    4-3.小括
   5.2023年国家語法
    5-1.背景と概要
    5-2.国家語の定義
    5-3.国家語と公用語が使用される領域に関する規定
    5-4.国家語習得義務の大幅な拡大
    5-5.言語政策における言語的側面の重視
    5-6.言語政策関連機関の権限の明確化
    5-7.新国家語法への反応
    5-8.小括
   6.おわりに

 第2章 統合と多様性のジレンマ
     タジキスタンにおける言語政策と言語的マイノリティの現在
   1.はじめに
   2.理論的背景と分析の視点
    2-1.言語政策をめぐる研究の理論的展開
    2-2.言語政策の多層性と複雑性
    2-3.言語権論の発展と言語政策への影響
    2-4.言語政策と社会的不平等
   3.タジキスタンの言語状況の歴史的変遷
    3-1.ソ連時代の言語政策とその影響
    3-2.独立後のタジク語重視の政策転換
    3-3.ロシア語の地位の変化
    3-4.マイノリティ言語の状況
   4.言語使用
    4-1.公的空間における言語使用
    4-2.教育現場での言語選択の問題
   5.マイノリティの言語をめぐる態度
    5-1.タジク人の母語意識とロシア語
    5-2.ウズベク人の言語シフトと言語維持
    5-3.言語権をめぐる問題
   6.考察:多言語社会における言語政策の諸相
    6-1.国家語とマイノリティ言語のバランス
    6-2.言語的ヒエラルキーと社会経済的不平等の関連
    6-3.「下からの」言語政策と言語管理
   7.おわりに

 第3章 カザフスタンにおける文字改革の迷走
   1.はじめに
   2.文字改革の社会・政治的背景
   3.カザフスタンの言語状況
   4.カザフ語の文字改革の経緯
    4-1.文字改革の歴史的背景
    4-2.独立後の文字改革の提言
    4-3.文字改革の本格化――2017~2018年
    4-4.文字改革の迷走は続く――2021年以降の動向
   5.カザフ語のラテン文字化をめぐる賛否両論
   6.おわりに

第2部 多言語社会のダイナミクス
 第4章 中央アジア諸国における少数民族の母語教育保障の利用と乱用
     カザフスタンに焦点を当てて
   1.はじめに
   2.理論的枠組みと本章の視点
   3.ソ連時代の言語教育政策における母語教育保障の理念と実態
   4.少数民族の母語教育保障にかかわる法規定の比較検討
    4-1.ウズベキスタン
    4-2.カザフスタン
    4-3.キルギス共和国
    4-4.タジキスタン
    4-5.トルクメニスタン
   5.カザフスタンにおける少数民族の母語教育保障の実態
    5-1.少数民族語を教授言語とする学校数の減少
    5-2.少数民族生徒に対する言語教育の負担増加
    5-3.政府による少数民族の母語教育保障の利用と乱用
   6.SDGsの達成に向けた多言語教育政策の課題
   7.おわりに

 第5章 「タタール人らしさ」の再定義
     ウズベキスタンのタタール人の言語選択にみるアイデンティティの交渉
   1.はじめに
   2.理論的背景と分析視点
    2-1.言語政策研究の視座
    2-2.言語とアイデンティティの関係性
    2-3.本研究の分析視点
   3.ウズベキスタンの言語状況
    3-1.歴史的背景と現在の言語状況
    3-2.マイノリティの言語をめぐる状況
   4.ウズベキスタンのタタール人の言語選択
    4-1.タタール人の歴史的背景
    4-2.家庭と学校における言語の選択
    4-3.公的領域と私的領域での言語使用
   5.言語政策がタタール人のアイデンティティに与える影響
    5-1.タタール語の地位低下とアイデンティティの揺らぎ
    5-2.ロシア語志向とウズベク語志向の狭間で
    5-3.言語を通じたアイデンティティ形成の模索
   6.考察
    6-1.言語選択における主体性と制約
    6-2.言語とアイデンティティの動態的関係
    6-3.世代間の言語シフトとアイデンティティ再構築
    6-4.先行研究との合致点と新たな発見
   7.おわりに

 第6章 Aralashはキルギス語への侮辱か?
     キルギス語とロシア語のコード・スイッチング現象をめぐって
   1.はじめに
   2.CSとは?
   3.中央アジアにおけるロシア語とのCSの歴史
   4.言語学的視点:CSのパターン・特徴
    4-1.ターンレベルおよび会話全体
    4-2.文内CS
    4-3.借用語をめぐって
   5.社会言語学的視点:CSの機能
    5-1.方向づけ機能
    5-2.表現機能
   6.誰がCSをするのか
   7.CSに対する態度
   8.おわりに

 第7章 ロシア語をめぐる「利益」と「矜恃」の葛藤
   ウズベキスタンにおける「ロシア語離れ」と「ロシア語頼り」の並進
   1.はじめに
   2.中央アジア諸国の言語政策に対する分析視角
    2-1.三つの制度配置
    2-2.ロシア語の国際競争力と機能性:プーシキン記念国立ロシア語大学
      「ロシア語世界地位指標」報告書の分析より
    2-3.ロシア語の商品化と市場規模
   3.2022年2月後のロシア語圏市場とウズベキスタン
   4.ロシア語/ロシア人をめぐる「利益」と「矜恃」
    4-1.ウズベキスタンのIT産業とレロカント
    4-2.ロシア語圏市場の実態
   5.結びに代えて:まだら模様の「ロシア語頼り」

付録1 中央アジア5カ国の基礎情報
付録2 ソ連政権の言語教育政策を支えた基本法・規定
付録3 中央アジア5カ国の憲法、言語法、教育法における国家語、ロシア語、少数民族語の法的地位、母語教育の権利保障に関する法規定(抄訳)
付録4 キルギス共和国憲法的法律「キルギス共和国の国家語について」
    (2023年7月17日)
付録5 ウクライナにおける「ロシア語離れ」の証言

あとがき

索引