関西大学出版部

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教師の成長を支える学習環境デザイン 
シンキングツールを活用する中国小学校の実践を事例に

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※丸善雄松堂「Maruzen eBook Library」と紀伊國屋「KinoDen」は機関向けです。

電子書籍 丸善 Knowledge Worker
電子書籍 Maruzen eBook Library
電子書籍 紀伊國屋 KinoDen
張 暁紅 著
 
 
 
判 型 A5判
ページ 176頁
定 価 2,090(本体1,900円+税)
ISBN 978-4-87354-804-3
分類コード C3037
刊行年月 2025年12月
近刊

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“シンキングツール”から“思考スキル”へ―教師が変わる物語
中国の小学校で始まった、思考スキルを育成する教育改革。シンキングツールの使い方に悩みながら試行錯誤を重ねた教師たちは、目的を問い直し、今後の実践のあり方を展望する。TEAを用いて歴史的・社会的・地域的環境が成長の段階・パターンや教育観におよぼす影響を丁寧に描き、教師の学習環境デザインを考える一冊。

目 次
序章
 0.1 中国人教師とともに歩んだ学びの時間
    ―シンキングツール実践との出会いから―
 0.2 意義
  0.2.1 国境を越えて教育を考える時代へ
  0.2.2 「詰め込み」から「思考力」へ―変化の兆しとしての中国教育改革―
  0.2.3 教師の成長を支える環境に光を当てる意義
  0.2.4 日本の教育実践への示唆―比較を通じた気づき―
 0.3 構造と各章の内容

第1章 中国の教育政策の変遷と教師像の変化
 1.1 知識伝達から思考力育成へ移行する教育政策の変遷
  1.1.1 1300年間行われていた科挙制度(隋の時代~1905 年)
  1.1.2 民国時期における西洋学校制度の試み(1905~1948 年)
  1.1.3 中華人民共和国建国後の初期の教育模索(1949~1977 年)
  1.1.4 素質教育を中心とした現代教育の改革(1978~2015 年)
  1.1.5 思考力の育成という新しい教育目標の提唱(2016 年~)
 1.2 中国で求められる教師像の変化
  1.2.1 中国建国前の教師像
  1.2.2 中国の成立から現代教育改革開始前までの教師像(1949~1977 年)
  1.2.3 西洋の理論を取り入れた教師の専門性基準(1978年~)
 1.3 中国における実践研究と現職教師育成の課題
 コラム1 “良い先生”の定義は時代で変わる? ―母の世代の教師像と今―

第2章  思考スキルの育成をめざす教育改革の試み
    ―シンキングツールの導入―

 2.1 高次的思考力の育成
 2.2 シンキングツールを活用した授業方略
 2.3 中国でのシンキングツールの導入
 2.4 シンキングツール導入後の継続研究
 コラム2 “このシンキングツール,どう使えばいいの?”
       ―導入時に教師が抱いたリアルな戸惑い―

第3章  思考スキルの育成をめざす教師の成長を支える学習環境
 3.1 思考スキルを育成する実践における教師の成長とは
  3.1.1 思考スキルの育成を目指す教師に求められる力量
  3.1.2 反省的実践家として成長していく教師
  3.1.3 シンキングツールを活用する教師の成長の定義
 3.2 教師の成長段階・パターン・信念
  3.2.1 成長の段階
  3.2.2 成長のパターン
  3.2.3 教師の信念
 3.3 教師の成長を支える学習環境
  3.3.1 教師の成長にかかわる環境要因
  3.3.2 教師の成長を支える学習環境デザインの可能性と必要性
 コラム3 中国の教師たちのSNSコミュニティ―WeChatとQQ―

第4章 本書の目的と方法論
 4.1 研究の目的
 4.2 研究の方法論:複線径路等至性アプローチ
  4.2.1 歴史的構造化ご招待(HSI)
  4.2.2 複線径路等至性モデリング
  4.2.3 発生の三層モデル
 コラム4 一側面だけでは見えない―教師の成長をどう捉えるか―

第5章 非構造化ブレンド学習の視点による教師の具体的成長段階
 5.1 背景と目的
 5.2 方法
  5.2.1 研究協力者
  5.2.2 データの収集
  5.2.3 データの分析と個人TEM図の作成
 5.3 結果
  5.3.1 Ⅰ期:応用の初期
  5.3.2 Ⅱ期:推論に注目する試み期
  5.3.3 Ⅲ期:1年間の実践への振り返り期
  5.3.4 Ⅳ期:アハ体験の発生期
  5.3.5 Ⅴ期:思考スキルへのフォーカス期
 5.4 考察
 5.5 まとめと課題
 コラム5 「問題の海」を越えて―思考スキルを育てる授業への転換点―

第6章 反省的実践家の視点からみる教師の具体的成長段階
 6.1 背景と目的
 6.2 方法
  6.2.1 研究協力者
  6.2.2 データの収集と分析
 6.3 結果
  6.3.1 Ⅰ期:シンキングツールの導入の初期
  6.3.2 Ⅱ期:授業設計の悩み期
  6.3.3 Ⅲ期:授業評価の困惑期
  6.3.4 Ⅳ期:目的の問い直し期
  6.3.5 Ⅴ期:多面的視点の獲得期
  6.3.6 Ⅵ期:授業中の柔軟対応期
 6.4 考察
  6.4.1 授業中の柔軟対応の難しさ
  6.4.2 成長の段階において目的を問い直すことの重要性
  6.4.3 成長段階における多面的視点の獲得期の意味
  6.4.4 教師の省察に働きかける社会的方向づけと社会的助勢
 6.5 まとめ
 コラム6 変化は子どもから見えてくる―支え合う教室と家庭―

第7章 シンキングツール導入後の中国人教師の成長パターン
 7.1 背景と目的
 7.2 方法
 7.3 結果
  7.3.1 パターン1:目的を問い直してから児童にシンキングツールを自由に選ばせる
  7.3.2 パターン2:目的を問い直してから日常生活に関連付けて考えさせる
  7.3.3 パターン3:目的を問い直してから効率的に知識を習得させる
 7.4 考察
  7.4.1 専門的対話による教師の省察の深化
  7.4.2 地域間の社会的方向づけの度合いの違い
  7.4.3 研究グループの議論による成長方向性の再分離
 7.5 まとめと課題
 コラム7  地域が変われば,教育環境も変わる―広州市と仏山市―

第8章  教育観の変容・維持のプロセス
 8.1 背景と目的
 8.2 方法
 8.3 結果
  8.3.1 タイプ1:知識習得と思考スキル育成を両立させる教育観
  8.3.2 タイプ2:知識習得から思考スキル育成へシフトした教育観
  8.3.3 タイプ3:知識習得に固執する教育観
 8.4 考察
  8.4.1 葛藤経験が土台となる成長
  8.4.2 一部の教師における省察の盲点
 8.5 まとめと課題
 コラム8 変わらない教育観には理由がある
      ―“変容しない教師”を支える構造―

第9章 思考スキルの育成を目標とする教師の成長を支える学習環境デザイン
 9.1 4つの研究に関する総合考察
  9.1.1 複数の成長段階における社会的方向づけと社会的助勢
  9.1.2 成長パターンと教育観のタイプの関係
 9.2 教師の成長に影響を与えた環境要因の整理
  9.2.1 段階1:教科での応用段階
  9.2.2 段階2:目的の問い直し段階
  9.2.3 段階3:個性の形成段階
 9.3 教師の成長を支える学習環境デザインの要件
  9.3.1 段階1における学習環境の要件
  9.3.2 段階2における学習環境の要件
  9.3.3 段階3における学習環境の要件
  9.3.4 全段階におけるサポート
  9.3.5 教師の学習環境デザインの応用範囲と注意事項
 コラム9  教師の成長を支える学習環境―社会構成主義の視点―

終章 まとめと展望
 1.なぜ「個から社会へ」なのか
 2.教師の成長段階,教育観の維持と変容と環境要因
 3.本書の実践における課題と今後の展望
 4.おわりに:教師の成長が未来をひらく

 あとがき
 英語文献
 日本語文献
 中国語文献
 付録
  中国小学校教員の専門基準(試行)
 索引