「東洋道徳、西洋芸術」 幕末日本への視座
佐久間象山の儒学思想に関する研究
韓 淑婷 著
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判 型 | A5判上製 |
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ページ | 360頁 |
定 価 | 3,410円(本体3,100円+税) |
ISBN | 978-4-87354-798-5 |
分類コード | C3010 |
刊行年月 | 2025年03月 |
幕末の思想家、佐久間象山の思想を新たな視点から考察
日本の近代化への一つの指針を示した、佐久間象山の「東洋道徳、西洋芸術」思想。この思想はいかにして形成されたのか、またその内実と特質はどのようなものであるのか。本書はこれまでの近代化論の枠を超え、儒学の「礼楽」という新たな視点から「東洋道徳、西洋芸術」思想を解明し、斬新な幕末思想史研究を構築する。
- 目 次
- 凡例
序章
一 問題意識
二 佐久間象山の生涯略歴およびその歴史的評価
三 佐久間象山の思想に関する先行研究と課題
四 本書の視点・目的と構成
第一部 佐久間象山の学問思想―「東洋道徳、西洋芸術」の思想的基盤として
第一章 佐久間象山の朱子学理解―「居敬」に注目して
はじめに
一 象山の朱子学理解における「敬」
二 象山における「窮理」と「居敬」
三 象山の朱子学における「居敬」の内容
四 象山の朱子学における「礼」の位置づけ
おわりに
第二章 佐久間象山における朱子学の実践―「居敬・窮理」の方法論を中心に
はじめに
一 「敬」に立脚した実践―「懼」の視点から
二 洋学の学問方法としての「居敬・窮理」―砲学を例にして
三 「東洋道徳、西洋芸術」における「居敬・窮理」の意義
おわりに
第三章 佐久間象山における琴学の全体像
はじめに
一 象山における琴学の習得
二 象山における琴学資料の蒐集と『琴録』の編纂
三 琴学からみる象山の礼楽思想
おわりに
第四章 佐久間象山における『琴録』の編纂および象山の楽律思想
はじめに
一 『琴録』の写本について
二 『象山全集』の編纂と『琴録』
三 『琴録』の編纂形式と内容
四 『琴録』からみる象山の楽律思想
五 『琴録』の特色―荻生徂徠『琴学大意抄』と対照して
おわりに
第二部 佐久間象山の政治思想―「東洋道徳、西洋芸術」の実践のために
第五章 佐久間象山における『家礼』受容―『喪礼私説』に着目して
はじめに
一 『喪礼私説』の全体像
二 『喪礼私説』の特色
三 象山における儒式喪礼に対する態度の転換
おわりに
第六章 佐久間象山『喪礼私説』の礼式について
―「治棺」・「作主」・「誌石」・「墓碑」を例として
はじめに
一 『喪礼私説』における「治棺」
二 『喪礼私説』における「作主」
三 『喪礼私説』における「誌石」・「墓碑」
おわりに
第七章 佐久間象山の政治思想における儒教儀礼の位置づけ
―『喪礼私説』の政治的意義を通じて
はじめに
一 文久の改革項目に対する象山の批評
二 儒式喪礼制度化の意義
三 『喪礼私説』における喪服
四 象山における幕府服忌令の訂正構想
おわりに
第八章 佐久間象山における政治体制の構想―「徳」という要素を中心に
はじめに
一 象山の君臣観―「徳」の視点から
二 象山における政治思想の支点としての「東洋道徳」
三 象山における国体論のメカニズム
おわりに
第九章 佐久間象山の政治言説における儒学経典の活用
はじめに
一 象山の軍事主張における儒学使用の手法
二 象山の外交・人材主張における儒学の知恵
三 象山の制度改革言説における儒学的典拠
おわりに
終章
一 本書の成果
二 東アジア思想史研究への展望
参考文献
初出一覧
あとがき
人名索引