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戦争と文学の交渉 
古代から近現代へ

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※丸善雄松堂「Maruzen eBook Library」と紀伊國屋「KinoDen」は機関向けです。

電子書籍 丸善 Knowledge Worker
電子書籍 紀伊國屋 KinoDen
増田 周子 編著
 
 
 
シリーズ 関西大学東西学術研究所研究叢刊68
判 型 A4判
ページ 182頁
定 価 5,170(本体4,700円+税)
ISBN 978-4-87354-768-8
分類コード C3090
刊行年月 2023年03月

2022年3月に開催された国際シンポジウム論集。
終戦から77年、そしてロシアによるウクライナ侵攻に直面する今日、古代から近現代までの戦争を巡る文学を取り上げ、その意義を読み解く。壬申の乱から戦後日本まで、戦争の悲惨さや苦悩、そして人間愛を描いた数々の作品は、我々に何を問いかけるのか。

目 次

はしがき

高市皇子挽歌二題―異伝と壬申の乱の表現と― ……【村田 右富実】
 はじめに
 1.先行研究―異伝と壬申の乱の表現と―
 2.本伝と異伝
 3.本伝長歌
 4.異伝長歌
 5.壬申の乱の表現
 6.武器をめぐる問題
 むすびにかえて

昭和戦前・戦中期の言論統制と新聞小説 ……【関 肇】
 はじめに
 1.新聞紙法と出版法をめぐる攻防
 2.新聞小説における検閲
 3.戦中と戦後の連続性

火野葦平「バタアン死の行進」論―バタアン戦争と捕虜― ……【増田 周子】
 はじめに
 1.バタアン作戦の概要と火野葦平
 2.日本軍と米国軍の宣撫工作合戦とバタアン戦の貧弱さ
 3.日本軍の捕虜意識と、米軍の捕虜意識の対比と米比軍の残虐行為の強調
 4.捕虜とバタアン死の行進
 5.本間中将の死刑
 終わりに

二つの大戦をめぐる反戦詩人たち―オウェンとシットウェル再読―  ……【髙橋 美帆】
 はじめに
 1.戦争と詩
 2.戦争の悲哀―‘Strange Meeting’
 3.シットウェルの反戦詩
 むすびにかえて―世界に発信された原爆詩

石川達三「生きている兵隊」の中国語訳に関する通時的考察  ……【鄒 双双】
 はじめに
 1.戦時の中国語訳の誕生と発行
 2.戦時の中国語訳の影響と訳者の主体性の発揮
 3.歴史の記憶としての平和時代の中国語訳
 おわりに

天平四年の節度使
―戦争に赴く者への壮行歌と戦争に赴く当事者の漢詩を手がかりに― ……【小田 芳寿】

 はじめに
 1.高橋虫麻呂の節度使壮行歌
 2.天皇の節度使壮行歌
 3.節度使として任務地に赴く当事者の漢詩
 おわりに

吉屋信子『女の教室』論―『未亡人』との接続をめぐって― ……【木下 響子】
 はじめに
 1.『女の教室』と『未亡人』の接続
 2.女性の自立と抑圧
 3.女性の共同体
 おわりに

山崎豊子『大地の子』の構想に関する考察
―「製鉄所建設」シーンの作り方をめぐって― ……【唐 楚輝】

 はじめに
 1.中国上層部の政争
 2.父子の再会
 3.翻弄された主人公
 4.中国大陸で発表されない理由
 おわりに

川端康成「生きてゐる方に」論―占領期に描かれた結婚の種々相― ……【辻 秀平】
 はじめに
 1.江ノ島へ向かう「私」と千代子
 2.「江ノ島」のコンテクスト
 3.掲載誌『旬刊ニュース』「日米書下し恋愛小説傑作集」の性質
 4.記憶への囚われ
 結びに代えて

筒井康隆「ベトナム観光公社」論―戦争の当事者と傍観者の表裏― ……【松山 哲士】
 はじめに
 1.大衆の動向と「おれ」との対比関係
 2.「装甲遊覧車」という空間と傍観者同士の対立
 3.中年の紳士と2人の若者の思想的背景
 4.当事者としての戦場の恐怖と「おれ」の戦争参加
 おわりに

長谷川四郎「ガラ・ブルセンツォワ」論
―亡命ロシア人の「内戦」とその終結― ……【江 迅】

 はじめに
 1.ガラ・ブルセンツォワ一家
 2.フィクションが語る真実
 3.〈父親の不在〉と祖国
 終わりに

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