防災教育学の新機軸
まなび合いのアクションリサーチ
近藤 誠司 著
|
|
判 型 | A5判上製 |
---|---|
ページ | 216頁 |
定 価 | 3,520円(本体3,200円+税) |
ISBN | 978-4-87354-755-8 |
分類コード | C3037 |
刊行年月 | 2022年11月 |
ご好評につき、第二刷刊行!
いのちをまなざす、防災教育学の新たな挑戦
災害が頻発する現代において、防災教育の重要性が指摘されて久しい。その要請に応えることは確かに急務である。しかし、すでに現場には混乱が生じている。声高に「生きる力」を叫ぶ教育現場では、ノウハウやハウツー、サバイバビリティを効率的に教え込もうとする筋肉質の防災、脅しの防災が散見される。その一方で、防災を楽しく口触り良く伝えようとするがあまり、生命の死を等閑視して、自然を畏怖する謙虚な姿勢さえも看過したソフトな防災、劣化版の防災も跋扈しているようにみえる。
本書ではこのような両極を斥け、弁証法的に解決策を探索していく。そこでは、「まなび合い」の構えを基軸に据えた、いのちをまなざす防災教育学の彫琢が試みられる。次の千年紀を見据えた防災教育学の挑戦を、ぜひ一緒に目撃してもらいたい。
- 目 次
- 序章 いのちの光粒子
1 いのちに対するまなざし
2 北風と太陽の弁証法
3 四次元のまなび合い
4 本書の構成
第1章 防災教育学の立脚点
1 倫理の虚構性
2 防災教育の当事者性
3 防災教育の偶有性
4 防災教育の余剰的同一性
5 防災教育のポテンシャリティ
第2章 防災教育学のアクションリサーチ
1 ともにコトをなすこと
2 校内防災放送プロジェクト
3 プロジェクトの直接的なインパクト
(1)高学年児童の防災関心度の変化
(2)コンテンツ別の評価とデータの信頼性
(3)マンネリズムという壁に関して
(4)アクションによる影響の残存具合
(5)コロナ禍の影響をフィールド内で確かめる
4 実在的な意味におけるインパクト
5 学校現場へのインプリケーション
第3章 インクルージョンとオープンネス
1 「こども梧陵ガイド」プロジェクト
(1)二次元、三次元、そして四次元へ
(2)“梧陵さん”を通したまなび合い
(3)実践の直接的効果と波及的効果
(4)効果の残存具合
(5)四次元のまなび合いに向けて
2 国際理解教育とのリンク
(1)ホアマイの教訓
(2)「ダイバーちゃん」と「ぼうさいぶらり旅」
3 食物アレルギー教育とのリンク
(1)“たまちゃん”の挑戦
(2)ひとまずの成果
4 オープン・プラットフォームのポテンシャリティ
(1)教材動画のプラットフォーム
(2)実践のインパクト
(3)意図せざるインパクト
(4)四次元の感染と連帯
第4章 教育効果の測定に関するチャレンジ
1 フォトボイス法による実践のバックチェック
2 防災川柳のアナリシス
3 CREDO ~言葉のアクションリサーチ~
第5章 防災を生きる
1 災害ボランティアからのまなび
(1)災害ボランティアという経験
(2)IVUSA
(3)質問紙調査の結果と分析
(4)人生のなかの防災
2 フィールドワークからのまなび
(1)フィールドワークという経験
(2)フィールドワークのインパクト
3 防災活動からのまなび
(1)若手の防災活動推進者の心的構造分析
(2)生き様をまなぶ
終章 愛のかたち ~試論 BACEV+L モデル~
あとがき
初出一覧
索引