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19世紀スペインにおける連邦主義と歴史認識 
フランシスコ・ピ・イ・マルガルの生涯とその思想

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丸善 Knowledge Worker
紀伊國屋 KinoDen
菊池 信彦 著
 
 
 
判 型 A5判上製
ページ 248頁
定 価 4,510(本体4,100円+税)
ISBN 978-4-87354-745-9
分類コード C3022
刊行年月 2022年01月

連邦主義を支えた多元的国民史認識を描き出す
本書は、19世紀スペインの政治家、政治・社会思想家にして歴史家でもあったフランシスコ・ピ・イ・マルガル(Francisco Pi y Margall)の生涯と、彼の思想を論じた本邦初の研究書。
 ピ・イ・マルガルは、「アナーキズムの父」とされたフランスの社会思想家P.-J.プルードンの思想的影響のもと連邦共和主義思想を唱え始め、また、連邦共和党を率い1873年の第一共和政期には第二代大統領として連邦共和制を宣言するに至った人物である。
 一方で、彼は生涯を通じて歴史家としての活動も続け、多数の歴史書を遺している。本書では、これまで見過ごされてきた歴史家としての側面に注目し、彼の連邦主義思想を歴史認識の観点から分析することで、連邦主義を支えた多元的国民史認識を描き出すことに成功している。それは、これまで当たり前とされてきた近代国民史認識への異議申し立てでもある。

目 次
序章
 第一節 本書の目的
 第二節 一九世紀スペイン政治史とピ・イ・マルガル
 第三節 歴史家としてのピ・イ・マルガルの活動
 第四節 ピ・イ・マルガルの生涯とその思想に関する先行研究

第一章 ピ・イ・マルガルの連邦主義思想の分析
    ―プルードンとの比較を通じて―

 第一節 ピ・イ・マルガルとプルードンとの比較考察の必要性
 第二節 プルードンの連合主義と契約思想の特徴
 第三節 『反動と革命』とプルードンの比較考察
 第四節 『諸国民性』とプルードンの比較考察
 第五節 二者、三著作の比較を通じて得られた結論

第二章 スペイン内の地域的多様性の発見
    ―青年ピ・イ・マルガルの活動―

 第一節 一九世紀スペインにおける国民史認識の構造
 第二節 『スペインの記憶と美』とピ・イ・マルガル―史料としての建築―
 第三節 アルハンブラの「思い出」とその継承―『グラナダ王国』の叙述分析―
 第四節 青年期ピ・イ・マルガルの歴史認識
 第五節 本章のまとめ

第三章 カントナリスモと歴史の利用
 第一節 「カントナリスモとは何であったか」―その概略と解釈をめぐって―
 第二節 カントナリスモは何であろうとしたのか―機関紙の分析から歴史認識的起源へ―
 第三節 ピ・イ・マルガルとカステラールの反乱史認識
 第四節 歴史の利用がもたらしたもの
 第五節 本章のまとめ

第四章 大統領ピ・イ・マルガルによる歴史の利用
 第一節 第一共和政とピ・イ・マルガル
 第二節 ピ・イ・マルガルの議会演説と歴史認識
 第三節 連邦契約としての憲法草案
 第四節 本章のまとめ

第五章 自治と独立
    ―キューバ独立擁護論にみる「真の歴史」―

 第一節 自治主義と独立運動―ピ・イ・マルガルら三者の活動について―
 第二節 自治主義の特徴とその根拠―ラブラとの比較を通じて―
 第三節 独立支持への変化―ホセ・マルティと「アメリカ」をめぐって―
 第四節 『一九世紀スペイン史』
 第五節 本章のまとめ

終章
 第一節 各章のまとめ
 第二節 本書の結論

あとがき