土星びとの歌 ヴェルレーヌ評伝
山村 嘉己 著
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判 型 | A5判 |
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ページ | 304頁 |
定 価 | 3,850円(本体3,500円+税) |
ISBN | 4-87354-118-2 |
分類コード | C3098 |
刊行年月 | 1990年03月 |
幕れ行く世紀末のフランスにあって、自ら凶運の「土星びと」の生き方を選んだヴェルレーヌ。その「選ばれてあることの恍惚と不安」に震える近代的な感性は、かれの優しく美しい詩篇の中に残りなく溢れている。しかし、文学の中に思想性を多く求めるわが国の文学界では、意外にかれの世界の研究は少なく、その全貌が知られていない。この書はそのヴェルレーヌの全生涯を、詩作品を中心に概観したものであって、とくにかれの詩作品の魅力を可能なかぎり美しい日本語に移そうと努めたものである(約80篇の詩が訳されている)。読者は矛盾にみちたかれの生涯を追いながら、同時に詩の翻訳の可能性を筆者とともに追求することになるだろう。
- 目 次
第一章 ヴェルレーヌの位置 第二章 サチュルニャンの自覚
第三章 華やかな仮装の陰で 第四章 かりそめの天国に歌う愛の『優しい歌』
第五章 魔王との接触 第六章 地獄の底からの《悪しき歌》
第七章 牢獄での呻吟と悔悟(その一) 第八章 牢獄での呻吟と悔悟(その二)
第九章 『叡智』の世界 第十章 ふたたび愛の狂乱に
第十一章 『今と昔』 第十二章 どん底の中で『愛』を(I)
第十三章 どん底の中で『愛』を(II) 第十四章 霊も肉も交々に
第十五章 不可能な『幸福』を求めて 第十六章 終末への歩み