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研究班のご紹介
インターフェース政治研究班
研究期間
2023年4月1日~2025年3月31日
研究テーマ
多様な社会領域とのインターフェースにおける政治・行政実践の分析
研究目的
本研究班では、政治および行政や国家や政府に閉じられたものとしてではなく、広く社会のさまざまな領域との接触平面(インターフェース)においても展開されるものとして捉え、これを理論的・実証的に分析することを目的とする。具体的には、インターフェースにおいて展開される日常的な政治の実践に焦点を合わせ、そこから現代社会における政治・行政の機能不全や内在的な問題性を描き出す。
学史的に振り返れば、政治を社会領域とのインターフェースにおいて捉えるという発想は、すでに20世紀初頭のアメリカ政治学においてその萌芽が見られる。しかしながら、1970年代における行動論政治学の“挫折”とポスト行動論時代への移行をもって、政治学はむしろその対象領域および方法を限定する方向に進んだと言えるだろう。だが現代では、たとえばインターネットによってその外延が広がった公共的な言論空間、家族などの私的な領域、地域性や職種に縛られない中間団体と社会運動、主権国家の枠組みを超えたグローバルな企業や団体の台頭など、そもそも政治と社会のインターフェースの在り方がかつてとは大幅な変容を遂げている。こうした変容はインターフェースにおいて展開される政治・行政実践にも必然的に影響を及ぼすものであるため、新たな思想・理論と分析アプローチによって、現代政治のイメージを刷新することが求められている。実際に、近年の政治学においては、実験手法やフィールドワークなど他のディシプリンで用いられてきた方法論を積極的に採用することで、多様なインターフェース領域から政治現象を分析する研究が試みられつつある。本研究班では、こうした研究の成果も参照しつつ、既存の政治分析の対象とされてこなかった実践においてこそ、現代的なアクチュアリティをもった政治分析が可能であることを示す。
研究員
主幹 | 西山 真司(政策創造学部 准教授) |
安武 真隆(政策創造学部 教授) | |
梶原 晶(政策創造学部 准教授) | |
宋 財泫(総合情報学部 准教授) | |
西山 渓(委嘱研究員・開智国際大学 専任講師) |
技術発展をめぐる刑事法の課題研究班
研究期間
2023年4月1日~2025年3月31日
研究テーマ
技術発展をめぐる刑事法の課題
研究目的
近時の様々な技術革新により、世界的に通信環境が整備され、それを基盤とした産業が進展し、それぞれの領域のデータが相互に連動し、利用されるようになった現在、こうした情報及びそれに関連する技術の価値は増大し、また、DNA等、個人情報の核となるデータそのものに対する保護の重要性も高まっている。こうした傾向は、世界的にも今後一層高まっていくことが見込まれる中、これらの技術をめぐって問題が生じた場合の法的処理については必ずしも結論が一致しているわけではない。こうした事態は、人・物を介した事案を前提に立法化された従来の刑事法では想定されていなかった問題を数多く孕んでおり、その限界が指摘されている。例えば、自動運転技術により死傷事故が生じた場合の責任の主体をどう捉えるべきかにつき、議論がなされている。また、データの刑法的保護を重視する必要がある一方で、処罰範囲が拡大することの懸念、刑事事件の捜査に関して様々な個人情報の収集・利用する場合とその保護の衝突など、手続上の問題も提起されている。本研究は、技術革新に伴って生じている刑事法の課題を様々な観点から検討、分析することを主たる目的とする。
研究員
主幹 | 佐川 友佳子(法務研究科 教授) |
葛原 力三(法学部 教授) | |
中島 洋樹(法務研究科 教授) | |
嘉門 優(委嘱研究員・立命館大学法学部 教授) | |
山下 裕樹(委嘱研究員・神戸学院大学 講師) |
行政における法執行研究班
研究期間
2023年4月1日~2025年3月31日
研究テーマ
行政における法執行―民事法・刑事法・行政法の接点
研究目的
わが国の行政の特徴として言われるのは、権力行使によらなければ目的が達成され難い場面においても行政指導が行われることである。ソフトな対応そのものは適切であっても、権力行使とソフトな対応とが適切に使い分けられているとは言い難い状況にある。国民が義務を履行しない場合等に備えて行政に強制や制裁のための権限が法律により与えられていても、それが十分に行使されているわけではない。各種の制約のなか、行政指導が活用されるほか、放置、黙認のような事態も生じることがある。また、行政上の権限の使い勝手が悪い場合に、一般法としての民事法・刑事法が持ち出されることがあるが、行政法の定めとの関係で脱法的なものになっていないか、懸念も残る。
本研究では、行政上の義務を国民が履行しない場合等において、行政法上の権限がどのように用いられているか、民事法・刑事法がどのように持ち出されているか、一般法としての民事法・刑事法が行政の目的を達成するための手段として用いられることにはどのような限界があるかなどについて、各自のもつ専門性を活かして研究を行い、行政における法執行の現状を明らかにし、更に、その問題をどのように改善することができるか、検討を加えてみたい。
研究員
主幹 | 荒木 修(法学部 教授) |
松代 剛枝(法学部 教授) | |
水野 吉章(法学部 教授) | |
池田 愛(法学部 准教授) | |
四條 北斗(委嘱研究員・大阪経済大学 准教授) |
商行為総則・各則規定研究班
研究期間
2023年4月1日~2025年3月31日
研究テーマ
商行為総則・各則規定の合理性に関する研究
研究目的
平成29年民法改正(いわゆる債権法改正)において、商行為法において民法・商法の差違として顕著であった商事法定利率・商事消滅時効の規定はいずれも削除され、民法に統合された。もっとも、他の商行為総則・各則に関する規定は、平成30年商法改正(運送・海商法関係)に関連する部分を除き、債権法改正に対応してわずかな修正が加えられるにとどまった。
しかしながら、商行為総則・各則の規定の合理性には不明瞭なものが少なくない。例えば、商行為の代理についていわゆる非顕名主義を定めた商法504条本文は、顕名がない場合にも本人との間での効果帰属を認める一方で、同条ただし書は相手方の選択により代理人への履行請求を妨げないとする。しかし、非代替的な作為義務であればそもそも代理人の履行請求は(金銭賠償を除き)不可能であり、同条は決まった種類物の大量反復的売買など、かなり限定的な場面を想定して規定されているように思われる。しかしその内実について十分な研究は少なくない。
また、商事売買においても、契約不適合責任に関する規定がどのように適用されるかについては、改正法に対応した商行為法の教科書でも見解の相違が見られる。
本研究では、以上のように債権法改正のもとで商行為総則・各則の規定の合理性について再検討することで、民法・契約法も含めたあるべき制度の枠組みを模索し、提言することを目的とする。
研究員
主幹 | 原 弘明(法学部 教授) |
笹本 幸祐(法学部 教授) | |
馬場 圭太(法学部 教授) | |
村田 大樹(法学部 教授) | |
南 健悟(委嘱研究員・日本大学法学部 教授) |