【関大社会安全学部 リレーコラム】家具固定し「窒息・圧死」防止

新しい年を迎えました。昨年、一昨年と大きな豪雨災害に見舞われましたので、令和2年は大きな災害がない年になることを切に願っています。

17日で阪神・淡路大震災の発生から25年の節目を迎えました。25年前、私は大学入試を控えており、地震発生時(午前5時46分)は、ちょうど大学入試センター試験を終えたばかりで、早朝から机に向かって2次試験に向けて準備をしておりました。勉強机の真後ろにはガラスの扉付きの木製の大きな本棚があり、地震の揺れで本が飛び出して散乱し、勉強机に覆いかぶさるように転倒しました。たまたま休憩をしようと席を外していたので、転倒した本棚が直撃し、下敷きになることは免れました。

震災では、地震当日に亡くなられた方の約4分の3が「窒息・圧死」、地震後に発生した火災による「焼死・熱傷」が約1割、また9割以上の方が地震発生当日の午前6時までに亡くなっていたという報告があります。つまり多くの方が倒壊した建物や家具などの下敷きになり、短時間のうちに亡くなっていたことを意味します。

このような「窒息・圧死」を減らすためには、建物の耐震補強はもちろんのこと、転倒しそうな家具の固定やそのような家具が直撃するような場所で就寝しないといったより身近に取り組めることも併せて実践していく必要があります。

震災から25年の節目の年、各地で犠牲者を追悼するイベントも開催され、震災を経験した方もそうでない方もそれぞれの思いで、1月17日を迎えられたと思います。今後高い確率で発生するといわれている南海トラフ巨大地震や首都直下地震への備えとして、改めて地震が発生すればどのようなことが自分の身の回りで発生するのかについて知り、個人でできることを日常から着実にやっていくことが重要です。
(関西大社会安全学部准教授 小山倫史)(2020-01-20・産経新聞 大阪夕刊・3ページ掲載)