【関大社会安全学部 リレーコラム】「想定外」 備えの見直し必要

この度は、台風19号により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧と、皆さまの平穏な日々を取り戻せるよう心よりお祈り申し上げます。

10月10日から13日にかけて東日本に非常に強い勢力で襲来した台風19号は、関東甲信越地方を中心に、観測記録を塗り替えるような記録的大雨をもたらしました。大雨特別警報は13都県に発令され、平成25年の運用開始以来、最多の発表数となりました。

この記録的な大雨により、東北地方から関東北部・甲信地方を中心に土砂災害や浸水による被害が多数発生しました。特に、堤防から川の水があふれる越水や堤防の決壊がもたらした河川の氾濫による被害は甚大なものでした。

昨年も、西日本では、平成30年7月豪雨や台風21号の襲来による災害に見舞われ、甚大な被害が発生しています。近年、「数十年に1度」といわれる災害が毎年のように発生している現状を目の当たりにすると、こういった災害が「特別」ではなく、もはや「想定外の災害だった」の一言で簡単に総括できるものではなくなってきているように思います。

現状の想定範囲内のハード対策で十分なのかもう一度見直す必要があるのではないでしょうか。一般的にハード対策にはお金がかかるといわれますが、構造物をより強固なものにし、機能を高めることは防災・減災・縮災の基本であると思います。もちろん早期避難につなげる災害情報といったソフト対策が重要であることは言うまでもありません。

今後、今回の災害について、さまざまな方面から検証がなされるでしょう。これらの検証から得られる教訓をもとに、いつ・どこで発生してもおかしくない「想定外」の災害にどのように備えるかを一人一人が考えていく必要があります。
(関西大社会安全学部准教授 小山倫史)(2019-10-21・産経新聞 大阪夕刊・3ページ掲載)