【関大社会安全学部 リレーコラム】災害振り返り 備えの改善を

早いもので、もう12月。今年の漢字が「災」となったように、災害の多い年となりました。過去を振り返り、未来に備える。このため、この一年を振り返ってみましょう。

1月から2月にかけては豪雪がありました。電車や車の立ち往生、雪下ろし中の転落事故などが相次ぎました。また、1月には草津白根山の噴火、4月には島根県西部地震、6月には大阪北部地震、9月には北海道胆振(いぶり)東部地震がありました。やはり、日本は火山の噴火や地震の多い国でした。大雪や火山噴火、地震はまた来年もあるのでしょうね。

地震被害では、北海道の全域停電に驚きました。高度なシステムでも、思わぬところに脆弱(ぜいじゃく)な箇所があるものです。同じような脆弱なところがないか、それぞれ見直しておきたいですね。

7月には豪雨があり、岡山、広島、愛媛などで甚大な被害が発生しました。台風も何回も来襲しましたし、台風12号は日本列島を東から西へと横断しました。夏台風は迷走する、といいますが、あのような複雑な動きには驚きました。やはり、自然は人間の予想を容易に裏切る動きをしますね。

日本だけでなく、海外でも災害は多発しました。前回の原稿はインドネシアで書いていましたが、そのあとスラウェシ島で地震と津波の被害がありました。数千人が地すべりで生き埋めともいわれています。2004年のスマトラ島の大津波の際、海外の災害はスケールが違う、と私は思いましたが、さらにスケールの大きな津波が東北を襲いましたね。海外だから日本とは異なる、とは必ずしも言えないということを肝に銘じておきたいものです。

こうして1年間の災害を振り返ると、いろいろな教訓が得られます。これらの教訓をもとに、災害への備えを改善し、良い新年を迎えましょう。
(関西大学社会安全学部教授 一井康二)(2018-12-18・産経新聞 大阪夕刊・3ページ掲載)