【関大社会安全学部 リレーコラム】時間のゆとりから始める防災

大阪北部の地震、西日本で豪雨災害、相次ぐ台風の来襲、そして北海道の地震で全停電と、息をつく間もなく災害が続きました。自宅に被害はなくとも、交通機関の遅延・運休、学校の休校など、大なり小なり影響を受けた方が多いものと思います。

私も、大阪北部の地震で電車の中に閉じ込められたり、台風21号の影響で関西空港出発の海外出張が中部空港出発になったりしました。実は、この原稿はインドネシアで書いているのですが、帰りの関空便がどうなるか、全く分からない状況です。不安ですね。

今やスマホなどで乗り継ぎ時間なども考えた経路検索が容易にできるし、外出時は時間ギリギリに着くように出てしまいがちです。

出張時も、観光していると疑われるからか、空き時間があまりないように約束を詰め込みがちになります。その結果、災害時は予定が狂い、遅刻したり約束をキャンセルしたりと影響が大きく、なかなか大変です。

やはり、もっと時間にゆとりを持たせた行動をとるべきなんでしょうね。(学生にはいつも言っていることですが)電車が遅延する可能性を考えて講義開始よりかなり前に学校についておくとか、帰国便が遅れる可能性を考えて出張直後に打ち合わせの約束を入れないとか。少しゆとりを持たせておくだけで気分的にはすごく楽になります。

しばらくたつと元に戻るのかもしれませんが、皆様もこの機会にもっと生活にゆとりを持たせてみてはいかがでしょう。構造物を丈夫にするとか、きちんと避難することも防災ですが、気の持ちようも防災のあり方として大事かもしれません。
(関西大学社会安全学部教授 一井康二)(2018-09-18・産経新聞 大阪夕刊・3ページ掲載)