【関大社会安全学部 リレーコラム】土砂災害 データ蓄積が必要

もし、天気予報で「今日の天気は晴れ時々曇り、ところによって一時雨、降水確率20%」と出たら、みなさんは傘などの雨具を持って出かけるでしょうか?

いろいろな判断があると思いますが、「降水確率20%だし、そんなに降らないだろうから傘はいらない」「降られると困るので折りたたみ傘ぐらい持っていこうか」といった感じでしょうか。天気予報では、たったこれだけの情報で雨具を持って出かけるかどうかの判断をしているわけです。

なぜ、このようなことが可能なのでしょうか。それは、天気予報はたまに外れることがあっても、予報の精度は雨具を持って行くかどうかの判断には十分であると〝ある程度〟信じているからであり、降水確率20%で雨具を持っていかなかったことでどのようなことになったかという過去の経験を多く持っているからだと思います。

「土砂災害警戒情報」などの災害情報もこのようなレベル―すなわち、得た情報をもとに、次にどのように行動すべきかを自分で判断できるレベルにならないだろうかといつも考えています。そのためには、技術的に予報の精度を上げないといけません。近年、高精度の気象レーダーによって飛躍的に解像度が上がり、気象予報の精度も向上しています。また、これまで蓄積された膨大な観測データもあります。観測技術の向上と膨大な観測データの蓄積が予報精度の高い天気予報を支えているのです。

では、土砂災害に関してはどうでしょうか。最近になって、ようやく危険な斜面を計測・モニタリングするといったことが研究レベルで始められてきました。今後、計測データをうまく利活用するためにはまず、データをどんどん蓄積していく必要があるでしょう。
(関西大社会安全学部准教授 小山倫史)(2018-04-17・産経新聞 大阪夕刊・3ページ掲載)