【関大社会安全学部 リレーコラム】人間の仕事にミスはつきもの

入学試験のシーズンですね。今年は、昨年の入試のミスがほぼ一年後に明らかになったというニュースに驚きました。採点ミスなのか、そもそも出題のミスなのか。いずれにせよ、1年を別の大学や予備校で過ごした学生さんもおられますので、大変な問題ですね。

でも、人間のやることにはミスはつきものです。試験問題の作成においても、出題ミスがありえることを前提として、普通は複数回の確認がとられます。また、採点においても複数の採点者によるチェックが行われるでしょう。今回のケースが、こういったチェックをすり抜けて生じたものだとすれば、担当者の問題ではなく、チェック体制を含めたシステムの問題だと思います。

このような話は、入試に限らず、災害防止の場においても同様です。人間が携わる以上、人間によるミスを完全に防ぐことは難しいでしょう。そこで、チェック体制が重要になります。

例えば、耐震設計の場合、経験者なら、ある程度の設計ミスは設計図面を見た段階で分かります。最近は、設計図面に描かれた構造物の形状を3次元的に立体視するシステムも導入されつつあり、早い段階で設計の不具合に気付けるようになってきました。どのタイミングで、誰がどのようにチェックを行うか。これがミスを防ぎ、安全性を確保していくために必要なチェック体制の要点だと思います。

今回の入試の例を「他山の石」として、身の回りの安全のチェック体制をこの機会に見直してみませんか?
(関西大学社会安全学部教授 一井康二)(2018-02-20・産経新聞 大阪夕刊・5ページ掲載)