2023年1月26日（木）10:00〜11:30

ご講演テーマ
健康社会の実現に向けた腸内環境ビッグデータの活用と社会実装への展開

コロナ禍の経験を通じ、健康の重要性が再認識されていますが、健康の鍵を握る重要な要素として、腸内環境が注目されています。「医食同源」と言われるように、食と健康との関係は古くから知られていましたが、最近では「腸内フローラ」とも呼ばれる腸内細菌も含めた腸内環境が注目されています。産業的にも、有用な腸内細菌を用いた「マイクロバイオーム医薬品」や食品成分を材料に腸内細菌などの微生物が生産する有用物質（ポストバイオティクス）を活用した食や健康に関する新しいコンテンツ開発が進んでいます。私たちは現在、日本各地から得られたヒトサンプルのビッグデータ解析と、基礎研究による仮説検証・メカニズム解明を連動させたスパイラル型研究により、腸内環境と健康についての新しい知見を得て、それを社会実装に展開しています。本講演では、社会実装に向けたビッグデータ解析の取り組みを中心に、私たちの研究を紹介したいと思います。

プロフィール

2001年薬学博士（大阪大学）。カリフォルニア大学バークレー校への留学後、2004年東京大学医科学研究所助手。同研究所助教、講師、准教授を経て2013年より医薬基盤研究所プロジェクトリーダー。2019年より現職。2022年より、ヘルス・メディカル連携研究センター センター長を併任。その他、大阪大学・招へい教授（連携大学院）、東京大学、神戸大学（連携大学院）、広島大学、早稲田大学の客員教授などを兼任。一般向け書籍として「善玉酵素で腸内革命（主婦と生活社）」がある。