文学部教員コラム

第2回 2003/10/28

『学校インターンシップ報告会』に参加して

                                   教育学専修  教授  山本 冬彦

 10月18日の午後、文学部が今年度から実施している高等学校での学校インターンシップの報告会を行った。当日はすでにインターンシップを終えた学生、これから赴く学生、インターンシップ生を受け入れてくれた高校の先生方などが多数参加された。この報告会では、数人の学生から、受け入れ高校での活動についての報告と、受け入れ高校の担当の先生方からのお話があった。どの学生の口からも、現場での生徒との交流の中で、自分が生半可には対応できないこと、生徒に真剣に向き合うことの大切さ、自分に求められている責任の重さが語られた。また高校の先生方からは、教育実習では伝えることのできない学校現場での仕事について、学生諸君にいろいろな形で学んでもらうことができたと積極的なご発言をいただいた。

 私たちが学校インターンシップをはじめたのは、学生諸君に大学での教育の場で社会的経験を深め、自分にとってよりよい将来の職業を選択することができるための機会を提供するためである。学生諸君も私たちのこの企画に積極的に応募してくれた。また大阪府下や神戸市内のたくさんの高校が学生の受け入れを快諾された。当日は、懇親会も含め、大学、学生諸君、そして協力いていただいた高校の先生方が一同に会し、大変有意義な会となった。この会に参加して特に私が感じたことは、この三者がひとつの課題に向かって心を通わせることができたということである。

 昨今の大学教育の現場では、教員と学生とのすれ違いや世代間のギャップを感じることが多い。これをどのように埋めるのかが、現在の大学教育の一番の課題ともいえるのだが、これは、教員と学生との間に本来あるべき共通の目的意識や課題意識が希薄になっているために起きている。学校インターンシップに参加している学生諸君の率直な話を聞いていると、少し手前味噌になるが、この取り組みは、こうしたギャップを見事に埋める働きをしていると思う。私たちは学生諸君が、社会で実際に行われているさまざまな営みに直接参加して、そこで自分自身が何をやらなければならないのか、それがどのような社会的意味のあることなのかを見出してほしいと願っている。そして参加した学生諸君も、インターンシップ生ながら、高校の生徒たちと話をし、その悩みを聞き、それに対して自分がどのようなアドバイスや関わりができるのかを身をもって体得したようだ。そしてこの取り組みの意味をそれぞれの立場から受け止めてくれたのである。

 大学での教育というのは、こうした教員と学生との間の社会に対する課題意識の共有を前提としてはじめて成立するものである。従来は、このような課題の共有が自然に成り立ているものだとなんとなく考えられていたのだが、実は必ずしもそうではなく、いろいろなところでほころびができていたというのが実情であった。学校インターンシップの取り組みは、学生諸君の真摯な参加によって、このほころびを共に学んでいくという教育活動の本来のあり方を進めていくための大きな一歩とすることができたのではないだろうか。

(山本冬彦・文学部教員)

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