1.ICT教育による双方向教育に関する現状
58科目に実施例が見られた。
実施内容は、
・教材・資料・授業スライドの掲載
・予習課題・復習課題の掲載
・講義における解説・テキストの受講者のパソコンへの転送
・演習問題・解答例の掲載
・レポート課題の掲載・提出・評価
・復習用選択式/記述式自習問題
・小テスト問題の掲載・提出
・ESP問題(ヒアリング)の記述式テストの掲載・提出
・出席確認
・諸連絡
など多岐にわたることがわかった。
上記の実施例において、以下に挙げられる教育上の効果が見られるとの回答を得た。
・予習が容易に行えるようになった。
・講義時における学生の集中力が向上した。
・授業アンケートで「理解が深まった」との指摘が多数あった。
・実習に学生を円滑に導入できるようになった。
・パソコンを一人一台ずつ使う授業ではホワイトボードでは説明しにくく、CEASのようなシステムは便利。
・教員の画面を学生の画面に転送して授業を行なうことにより、細かい操作方法が指導できるようになった。
・視覚的な理解が促進できた。
・課題の提出がいつでもできるようになった。
・宿題を課してすぐに模範解答をアップロードしておくと、模範解答がないときよりもよく勉強するようになった。
・基礎力をつける段階では解答を見てもかまわないという指導をしており、解答を暗記しているだけの学生もいるようであるが、1問も解けずに宿題をやってこないよりは状況が改善された。
・過去の授業の教材を必要に応じて、授業中に読み返すことができる。
・パソコンがあるところであれば、どこででも予習・復習することができる。
・小テストについては、復習になるのでよいとの声が多い。
・ESPにおける英語の問題への学生の取り組み姿勢においては、底上げになっている。
・問題について検索したり、参考資料(ウェブ上のページや記事)から読み取ったりして解答するという取り組みが見られるようになり、迷解答、珍解答が減った。
・復習テストの結果から、学生の理解が乏しいことが分かった場合、再講義が検討できるようになった。
・類似形式の定期試験問題の成績が向上した。
・予復習を行なうことによって、試験レベルでの学力が向上した。
・課題の問題を通して、重要な内容とどのような問題が扱われるかの対策がしやすくなった。
・板書、資料印刷、資料配布のための時間が削減でき、時間の有効利用がはかれるようになった。
一方、以下に挙げる問題点も指摘された。
・パソコン端末のある部屋に行かないと情報にアクセスできない。パソコン利用環境も万全ではない。
・OSや機種によってはCEASそのものへのアクセスができないという場合がある。
・さまざまなソフト、バージョンで作成された課題が提出されるので、教員側で対応しきれない場合がある。
・CEASの利用に習熟するのにやや時間がかかり、利用者に今なお偏りが見られる。
・ICT利用のための技術的な問題が完全には解消されていない。
・選択式テストでは、1つしか正解を設定できない。「次の中から正しいと思われるものすべてに○をしなさい」という問題が出せない。
・選択肢問題、記述問題を織り交ぜた形式の出題が困難。
・電子媒体で提出されたレポートをひとつひとつクリックし、 ワードで開いてチェックすることの作業量負荷が大きい。また、送られてくるレポートの形式(サイズも含めて)が一様でなくコンピューターの画面上では大変読みづらいものが多い。そういう点では、通常の紙面によるレポートの方が読みやすい。
・点数で利益がない限り、学生は予習復習を行なわない。また、点数で利益をあたえても、レポートは提出するが授業には出てこない学生が少なからずいる。
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