関西大学地域連携事例集Vol.7
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3しかし、研究と教育の機関である大学が、地域連携活動において何ができるだろうか―関西大学地域連携センターは、地域連携活動の目的と理念を以下の4つの項目に整理して考えています。りにしない(leavenoonebehind)」という世界規模の理念・目標の実現に取り組んでいます。地域連携活動の要諦は、地域の人びとが「ここに暮らしていてよかった」と思えるような居場所を作り上げることだと心得ています。「地域の課題が世界目標であるSDGsとどう関係するのか」と思う方もいるかもしれません。「持続可能な開発」というフレーズは、1980年にとりまとめられた「世界保全戦略」に初出し、1992年の国連地球サミットで「環境と開発に関するリオ宣言」に具体化されたという長い歴史をもっています。その歴史からすると、このフレーズは何よりも環境の保護と経済成長との調和を提唱しており、クリーンなエネルギーや循環型社会、環境にやさしい技術革新といった目標がただちに思い浮かべられます。しかし、SDGsはその後の社会経済のグローバリゼーションや、それにともなって広がりつつある国際間また国内における格差の問題も意識して、人びとの暮らしに関わるきわめて包括的な課題を掲げています。SDGsが明記している諸目標のなかには、まさに地域の抱える課題がめざすところに直結しているものが少なからずあります。本冊子では、各事例がどの目標に関連しているか、SDGsアイコンを表示しています。地域のニーズに大学が応える大学のシーズを地域に活かす若い力が地域を活性化する若い力は地域で伸びる関西大学×SDGs ホームページ  https://www.kansai-u.ac.jp/sdgs/ 地域の抱える課題はさまざまです。総合政策、安全・安心、人材育成、都市デザイン、環境・アセットマネジメント、福祉・人権、教育、文化・スポーツ振興、産業振興、健康・医療など……。13の学部、15の研究科、国際部、教育推進部に研究者を擁する関西大学は、その豊富な人材を活かして地域の課題に応えるべく、地域連携活動に取り組んでいます。 どの分野の学問であっても、究極的には、人びとの人生、暮らしのなかでその意義がためされるものです。関西大学の多彩な研究の萌芽が、実際に地域の土壌に根づき、発芽し、開花し、結実することをめざしています。 大学は若者が集います。教員のゼミで、また自主結成した団体で、多くの学生が地域連携活動に従事しています。「よそから来た若い人がこの土地に関心を持っている。この土地のよさを再発見した」。そういう感想をよくいただきます。若者の姿には、地域を活性化する「触媒」の働きがあるようです。 地域の課題に取り組み、地域の皆さんと交流することで、学生は大学キャンパスのなかでは得られない貴重な経験をさせていただいています。関西大学は、学生がどこで暮らすにしてもその地域を支える人材となることを期待して、地域連携活動に取り組んでいます。関西大学は地域連携活動で何をめざしているか“社会”という語が広く開かれたイメージを呼び起こすのに対して、“地域”という語はひとつのまとまりを連想させます。そこには仕事も年齢もさまざまな人びとが住んでいて、それゆえ地域が抱える問題もいろいろですが、そうはいっても互いに関わり合いながら、「ここに暮らしていてよかった」と思えるような居場所を作り上げる―“地域”の幸福はそこにあるでしょうし、関西大学が地域連携活動を通じてめざすところもそこにあります。地域連携活動とSDGs(Sustainable Development Goals)2018年12月、学長の下に「KANDAIforSDGs推進プロジェクト」を設置し、SDGsがめざす「地球上の誰一人として置き去

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