関西大学地域連携事例集Vol.7
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39関西大学と結ぶ包括的地域連携協定と、関西大学の一部局(学部、研究所等)と結ぶ地域連携協定とがあります。前者は、A8の②や③のように、複数の分野の研究者(複数の学部の教員)による研究が進んでおり、多方面かつ長期的な展望のもとにその成果が見込まれる場合です。単独の部局に属す研究者(教員)による活動の場合は、一部局との連携協定が適しています。A3のとおり、地域連携事業は、教員が競争的資金や受託研究といった予算を獲得して自主的に行うものなので、地域連携協定を結ばなくても通常の活動にデメリットはありません。これらの資金は期限付きですので、地域連携協定を結んでも資金の終了とともに事業の終了が見込まれます。しかし、①長期的かつ大型の競争的資金による活動でその成果が自治体や企業の長期的な政策に反映できる、②複数の分野の研究(つまり複数の学部の教員による研究)が同時に進んでいてその成果が自治体や企業の総合的な政策に反映できる、③自治体や企業がその活動を支援する固有の資金を拠出する用意がある、④自治体や企業がその活動を支援するのに既存の予算からの支出や設備の利用を認める用意がある等の場合には、連携協定の目的や内容について相互の理解を固めるために協定を結ぶメリットがあります。特に自治体の場合、連携協定や、さらに細かな項目を明記した覚書を交わすことで、①②では住民に対する政策の表明、③④では活動を支援するための予算執行や設備利用(たとえば、公共交通機関や宿泊施設や会議施設の少ない地域での活動に便宜を供する等)について、議会や住民の理解を得る一助となります。地域連携協定の雛型を次頁に掲載しています。関西大学と結ぶ「包括的」地域連携協定は「包括的」の名の通り、地域の活性化(特定地区のまちづくり、地域産業の振興等)、住民の福利の向上(健康・福祉の増進、地域の防災等)、教育・文化の振興(学校教育活動の補助、市民講座、人材の育成、文化的遺産の学術調査、人的資源の交流等)と複数の分野にわたる事業内容を記載します。これに対して、一部局との連携協定では、事業内容はより特化したかたちで具体的に記載します。取り決め内容が多岐にわたる場合は、覚書を作成します。たとえば、その活動が個人情報の調査を含む場合には、「守秘義務の遵守」を協定に記載し、具体的な指示事項は覚書に記載する、あるいは、研究成果を直接住民に開示する催しを自治体の主催で行う場合は、「研究成果の地域住民への開示」を協定に記載し、具体的な取り決めは覚書に記載するといった使い分けができます。いずれにしても、取り決めは双方の合意によるものなので、自治体や企業と大学側とで個別の事業ごとに文案を考えることになります。個人情報(それだけで個人が特定できる情報だけでなく、複数の情報を照らし合わせて個人が同定できる情報も含む)を取得する必要がある研究については、「関西大学における人を対象とする研究に関する倫理規程」を制定しており、審査委員会を設置しています。このほかにも部局によって独自の倫理審査委員会を設置しているところもあります。確認の必要がありましたら、研究者(教員)に適切な手続きが済んでいるかについてお問い合わせください。また、地域連携センターでもご質問に対応し、関連部署に照会いたします。自治体や企業が関西大学と地域連携協定を結ぶことで、どのようなメリットがありますか?また、結ばないと何かデメリットがありますか?自治体や企業が地域連携協定を結ぶ相手は関西大学ということになりますか?地域連携協定にはどのような内容を記載するのですか?細かい取り決めも地域連携協定に記載したほうがよいですか?守秘義務の遵守については、大学側に指針はありますか?Q8A8Q9A9Q10A10Q11A11Q12A12

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