お知らせ

【新学長の挨拶】変化する勇気と力

2020.10.01

 2020(令和2)年10月に、第43代学長に就任いたしました。コロナ禍の困難な時期、長い歴史と伝統をもつ関西大学学長の職責の重さを痛感しております。
 134年の歴史をもつ関西大学は、大学昇格、また、学是「学の実化」の提唱100周年を2022年に迎えます。関西大学の歴史の中で、当時、大学昇格は悲願でした。解決しなければならない課題も多く、山岡順太郎先生を先頭に多くの皆さんの支援と協力を得て、関西大学は大学昇格を成し遂げました。
 一方、現在はVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代と呼ばれています。将来を容易に予測することのできないむずかしい時代です。加えて、少子化の問題は大学にとっては深刻で、18才人口が100万人を割るのは時間の問題です。
 そしていま、VUCAの時代を象徴するようにコロナ禍が世界を変えています。経済、文化、そして教育に重大な影響を与えています。人と人との対面がむずかしい状況は、教育にとって、大学にとって深刻です。コロナ禍の対応では、学生、教職員の皆さんの健康と安全を第一に、教育、研究、社会連携を継続、発展させること、修学に支障をきたし退学する学生をひとりも出さないことを基本に活動していきたいと思います。
 同時に、このような状況でも社会に貢献し続けることは重要です。また、この困難を新たな展開につなげることも必要です。VUCAの時代が求める大学の使命は、社会が求める人材・研究を提供することではなく、社会を先導する人材作りと独創的研究の創造です。いままでの教育、研究の内的な充実と、その国際化の推進を基礎に、多様性の時代に、社会を牽引する関西大学の発展に努めたいと思います。
 「学の実化」が言う、学理と社会との調和は、大学の教育・研究と実社会との相互作用を意味します。このためには、絶えず不易流行を見極め、変化を恐れず、挑戦する関西大学を作ることが必要です。変化する勇気と力が関西大学を進化させます。
 学生や教職員の皆さん、校友の皆さん、さらに関西大学に関わるすべての方々が、一員であることを、また、支援していることを実感し誇りとすることができる「ひとつの関西大学」を作っていきたいと思います。皆さまのご支援とご理解、ご協力をいただきますようお願い申し上げます。

                               学長 前田 裕