世界的に高齢化が進行している状況において、高齢者が活気ある自立した社会生活をおくるために、医療、健康に関わる技術革新は必至であり、とりわけ安全かつ確かな医療器具や医薬品の開発は重要な課題と言えます。 高齢になるにつれ著しく増加するのが骨の疾患であり、特に骨粗鬆症は、わが国の国民病と言っても過言ではなく、その患者は、わが国でおよそ1千万人(総人口の10%弱)に達しており、70歳を超えると約半数にその症状が認められます。 骨は代謝(リモデリング)を繰り返すことにより、構造と機能を維持しています。骨のリモデリングには、骨を形成する骨芽細胞、骨を壊す破骨細胞、骨基質に埋もれ、他の骨系細胞の機能に大きな影響を与えていると考えられている骨細胞が関与しています(図A)。 骨粗鬆症は、骨リモデリングのバランスが崩れることにより発症するものであり、その原因は加齢、ホルモンのアンバランス、生活習慣、服薬、他の疾患による合併症など様々です。