第102号  東大阪市製造中小企業調査―東大阪市高井田地区―【分析編】 (2005. 3.31)

要約

本書は2003年東大阪市高井田地区で行った製造中小企業調査(配票留め置き、対象企業数は306社)の実態編(2004年に刊行)に続く分析編である。特色ある内容は後継者難である。従業員が10名未満の企業においては、何と85%もの企業が後継者のいないままの状態になっている。今回のアンケート調査では、この設備投資に関しても尋ねている。最近の2〜3年間、「設備投資をしていない」と答えた企業の割合は73%。さらに、後継者がいない企業においては、この割合は86%にも達する。この設備投資を行っていない企業に関してもう少し詳しく見てみると、従業員4名未満の企業においては約93%、売上高3千万円未満の企業においては94%強の企業が設備投資を行っていないと回答している。規模の小さな、売上高の少ない企業ほど設備投資ができないでいるということが鮮明になっている。中小製造業の生存分岐点は売上規模で3億円すなわち、従業員30名以上の企業においては34%強、売上高3億円以上の企業においては28%にまで減少する。設備の高額化と企業財務の健全化などを考慮した場合、現在では、この程度の資金がなければ設備投資は不可能であり、その設備投資が行えないのであれば競争力の維持は不可能であり、そして結果的に企業存続は不可能であるということを意味しているのである。