第101号 東大阪市製造中小企業調査―東大阪市高井田地区―【実態編】 (2004. 3.31)

要約

東大阪の中小企業は、様々な業種、業態の中小企業によって成り立っている。しかも、製造業の一大集積地として層(業種)・幅(零細から大企業まで)・厚み(基幹技術から先端技術まで)が揃う。東大阪市の中小企業は自動車・家電など特定の産業に特化していない。業種も機械金属関連、紙・印刷、化学・プラスチック、食品、繊維など多岐にわたり特化した産業がないということである。さらにその形態は,地場産業として発展してきた伸線、金網、鋳物、バリカン,工具など、家電産業の部品製造基地、都市的産業である印刷、金属製品、日曜雑貨と、多様な側面を持っている。さらに,業態も特定の製品を持つ・加工専門にする独立企業もあれば大企業の一次・二次下請企業さらに賃加工もある。一人から3人の零細企業もあれば新規開業した知識集約型のベンチャー・ビジネスや既存の企業が新規分野に挑戦する第二創業もある。日本の中小企業の縮図である。しかし近年の産業空洞化の影響で松下冷機,葵機械などの地区の基幹企業の移転や廃業が目立つようになってきた。さらに,その跡地が物流拠点や大型小売店,食品産業,住宅, 駐車場,マンションになり工業地帯から住工混在地へと大きく変貌を遂げている。その状況を過去のデーターと経年比較し活性化の処方箋を作成する基礎資料として作成した。

第100号 情報技術と産業 (2004. 3.31)

要約

「ITと産業」研究班は、データマイニングなど最新のITのビジネス導入による技術的、組織的、社会的問題について、産学共同研究を通して明らかにし、理論構築、仮説検証、アプリケーション開発を通して社会に貢献することを目的として発足した。対象領域は、メーカーや問屋、小売店を含む流通を中心に、人工知能やコンピュータサイエンスといった工学系の分野までをカバーする広範な学際領域である。経済・政治研究所は産官学連携を基軸にした共同研究を積極的に推進しており、本研究班はそのような連携を創出する魅力ある研究成果を達成することが研究班の目標である。

本資料の内容としては、工学的な観点、マーケティング的観点、経営情報論的観点から、それぞれの研究員がアプローチした成果・資料の一部を掲載している。具体的には、新しい情報インフラでのe-教育、新しい時系列解析手法、ITを利用した市場調査と新商品開発、広告ビジネスに関する調査、小売業における業務効率化、FSPに関する現状報告、データマイニング・プラットフォームMUSASHIなどに関する報告が行われている。

本資料は「ITと産業」研究班の中間報告であり、工学、社会科学、実務家の研究員の報告は今後、ITに関する研究において貴重な資料になると考えられる。既に主幹を中心として複数の産学共同研究がこの研究班の中で進行しており、今後も積極的な社会貢献を目指して研究を進めていく予定である。