第99号 [世界自動車工業誌 ―2002―] (2003.2.28)

要約

自動車工業は原材料・素材など基礎商品の単一にして最大の消費者であり、総合機械産業であるという性格上、多くの産業と緊密な関係をもち、取り扱うべき関連事項が多岐にわたっていること、さらにはグローカライゼーション(グローバリゼーション=世界化とローカライゼーション=現地化の合成語)化している状況からして、自動車工業は現代資本主義の「縮図」「総括」「指標」といえるであろう。

そのような視点からして、リーディング・インダストリー、基幹産業としての自動車工業を分析すれば、今日の世界経済が理解できると考え、世界の政治・経済・文化の歴史の流れと対比させつつアメリカ合衆国、ヨーロッパ諸国、日本を含むアジア諸国など世界の自動車産業・企業の2002年に生じた歴史的事実を綴ってみた。

第98号 世界自動車工業誌 ―2001― (2002. 9.30)

要約

ギリシアの有名な歴史家ハリカルナッセウスの言葉に「歴史は例証からなる哲学である」という名言がある。その意味は、「いろいろな歴史を繙いてみたら、あらゆる例証が沢山ある。その例証をずっと並べて考えさせるものが歴史である」ということであろう。

現在、全世界中の自動車工業・企業(部品業界も含む)は激動の最中で再編・淘汰にさらされている。その戦略、計画、管理、組織などの性格や特徴が世界各国・地域の政治、経済、文化等に対してどのような有機的相互関連性を有し、さらには歴史の全体的構造に占めるその位置がいかなる意義をもっているのかを読みとるのに、本『世界自動車工業誌―2001―』(例証)がいく分かでも資することができるだろうとの目的意識でもって作成した。自動車工業ほど「スケール・アンド・スコープ」において、色々な意味で、影響力の大きな産業は類例がないといって過言ではないというのが作成した後の実感である。