第96号  グローバリゼーションと地域の変化 ―岩手県北上川流域産業集積地の事例― (2001. 3.31)

要約

経済のグローバリゼーションは、我が国経済に甚大な影響を及ぼした。国内の主だった産業集積地は悉くこの影響をうけ、産業の空洞化に直面している。本報告書は、経済のグローバリゼーションが国内産業、特に、産業集積地に及ぼした影響を、工場進出型集積の成功事例として、位置づけられている、岩手県北上川流域産業集積地を例にあげ、今後のこの地域変化も視野に入れ、分析したものである。岩手県は国・県・地方・大学・各種産業団体が実施している積極的な企業に対する支援制度がある。これが、企業誘致を成功させた要因の一つに上げられている。今回は、この制度の内容と評価にも触れている。

第95号 世界自動車工業誌 ―1994〜1998― (2000. 9.30)

要約

自動車工業・企業は、Glocalization(Globalization=国際化とLocalization=現地化の合成語)という言葉や国境が意味をもたなくなったという意味のGlobalityなる新語に典型的かつ象徴的に示されているように、地球規模的レベルでビジネス活動を展開している。

そこで本『調査と資料』においては、上に述べた視点からアメリカ、西ヨーロッパ、日本を含むアジア諸国、さらには中・東欧諸国などの自動車業界の具体的・歴史的行動や経営戦略の諸事実を1994年から98年にかけての5年間に限って年表化した。可視的な数字(図表)や事実に目を通すだけで、政治・経済との関連性、企業の経営戦略などの背後にある「資本の論理」、すなわち底流を貫徹している法則性について理解することを目的意識としているからである。

5年間を追跡してみて、次の3点を強く感じた。まず、国際的な合従連衡や合併・買収の多さ。次に中国を中心とする「アジアの本格的胎動」を告げる事実の多さ。そして第3に環境と安全問題に対する各メーカーの取り組みの強化である。

まさに自動車は「現代資本主義の総括」であることを実感した。