6/11(火) 客員教授 大須賀 英郎 氏による講演会を開催しました

 6/11(火)高槻ミューズキャンパスにおいて「船舶事故調査史から見る事故調査の根本問題」と題して、公益財団法人海事センター参与の大須賀 英郎 氏による講演会が開催されました。

 失敗体験に積極的に学ぶ「失敗学」について冒頭にご説明いただき、船舶事故を振り返りながら、今日の運輸安全委員会による事故調査体制が構築されるまでの歴史についてお話いただきました。

 1912年に起きた世界的に有名なイギリスのタイタニック号の事故を契機に現在のSOLAS条約(海上人命安全条約)が制定され、発展期の海事安全技術に大きく寄与したことや,イギリス・ドイツ・日本の事故調査制度(海難審判)の比較についてご説明いただきました。また、主要事故の海難審判のレビューについて,青函連絡船「洞爺丸」の転覆・沈没事故や「えひめ丸」と米原子力潜水艦「グリーンビル」との衝突事故などを例に挙げ、過失の認定がメインテーマとなり、ヒューマンファクター分析や構造的問題(工学的,組織的問題)の分析が十分にできず、再発防止の効果が弱いという課題があった旨の解説をいただきました。

 このような歴史を経て、2008年の法改正により責任追及と原因究明の手続きを切り離し,輸送分野の事故調査を運輸安全委員会が横断的に担うに至ったこと,その後も例えば船舶事故についてハザードマップによる安全情報の提供等の取り組みが続けられていることをお話しいただきました。多くの犠牲のもとに,現在の事故調査制度が構築されてきた過去を知る、とても貴重な機会になりました。

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