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【関大社会安全学部 リレーコラム】大雨「半日前予報」 余裕ある避難を
5月下旬から「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」が始まりました。これは線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いと予測できた場合、半日程度前から気象情報としてその旨を呼びかけるものです。
スーパーコンピューターなどによる予測の精度とともに空間解像度も向上したことで、これまで地方単位だった対象地域を府県単位に絞り込んで呼びかけを行うことになりました。
一方、線状の降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で実際に降り続いている状況が確認されれば、「線状降水帯」というキーワードを使って解説する「顕著な大雨に関する気象情報」(令和3年6月17日から提供)が発表されます。
ただ、土砂災害や洪水に対する早期警戒・避難は、線状降水帯が発生したという「顕著な大雨に関する気象情報」を受け取ってから対応するのでは遅すぎます。また、非常に激しい雨が同じ場所で実際に降り続いている状況では、避難指示が発表されたとしても、すでに身の回りに危険が及んでいる可能性もあるため、避難のための移動は限定的なものになると考えておくべきです。
さらに、避難のための移動に要する時間は、個人のおかれたさまざまな状況や事情によってまちまちです。よって、避難のタイミングがギリギリにならないよう余裕をもって行動するためには、「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」は、重要な役割を担っているといえます。
しかし、線状降水帯の発生をリアルタイムにピンポイントで予測することは難しく、特に長時間先の予測精度は必ずしも十分ではありません。
「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」がされたら、身の周りの状況とあわせて、気象庁の「キキクル」などで「雨雲の動き」や「今後の雨」をこまめに確認し、それぞれのタイミングで余裕をもって避難行動をとることが重要です。
(関西大学社会安全学部教授 小山倫史)(2024-06-17・大阪夕刊・国際・3社掲載)