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【関大社会安全学部 リレーコラム】線状降水帯情報はすでに非常時
8月に入り、台風6号、7号が立て続けに日本列島を襲いました。まずはこの度被害を受けられた方々にお見舞い申し上げ、被災地域の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
最近「線状降水帯」というワードをよく耳にするようになりました。線状降水帯とは、次々と発生する発達した積乱雲が列をなし、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過、または停滞することで作り出される線状に延びる強い降水を伴う雨域のことです。
気象庁により、令和3年6月から運用されている「顕著な大雨に関する気象情報」は、この線状降水帯が発生し、大雨による災害発生の危険度が急激に高まっていることを知らせる情報です。また4年6月からは、線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」も行われるようになりました。
しかし、線状降水帯が発生し、すでに大雨が降っている状態で周囲の状況を見に行ったり、避難所に向かうなどの行動を起こすことは逆に危険を伴います。よって線状降水帯が発生して大雨が降っているという情報は、すでに非常時になっていることを意味しており、状況に応じて直ちに最も身の安全を確保する行動をとらねばなりません。
数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測したときに発表される「記録的短時間大雨情報」も同様です。
大雨による災害に対する早期警戒・避難においては「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」が重要なのですが、線状降水帯の発生時刻や場所を正確に予測することは依然として難しいのが現状です。
今後突然、線状降水帯による大雨に襲われるということもあり得ます。そのような非常時の状態を想像し、日常から備えておくことが重要です。
(関西大学社会安全学部教授 小山倫史)(2023-08-21・大阪夕刊・国際・3社掲載)