【関大社会安全学部 リレーコラム】天気予報活用 議論重ねて

今年も梅雨がやってきました。すでに、台風が梅雨前線を刺激するなど6月早々から何回も大雨に見舞われ、災害も発生しています。
地震と異なり、豪雨災害では天気予報を防災に活用できます。しかし、予報は不確実性を含む情報ですので、うまく活用するには知恵と工夫が必要です。
例えば、6月初旬の大雨では、多くの鉄道路線で「明日は運休になる可能性がある」とアナウンスされました。予定していた会議をオンラインに変更するなどの対処につながりますが、「可能性がある」だけでは授業も休講にできず、利用者の判断が悩ましいものになるという一面もあります。
また、警報の発令で小学校が休校になる場合があります。しかし、朝から午後にかけて雨脚が強まると思われている場合でも、朝に警報がまだ発令されていない場合は、とりあえず子供たちは学校に向かいます。
そして、わが家の場合では昼前に警報が発令され、給食後の集団下校をする頃には大雨になっていました。結局、豪雨の中を歩いて帰ることになり、一番危ない行動パターンとなりました。
結局は天気予報で危険があると判断したときに、自主的に学校を休んだりすることが必要なのでしょう。ただ、中学校などで休むことが内申点やらなにやら成績評価に響くような感じがする制度があると、休みにくくなります。
このため、通常通りか休校かの二者択一しかない制度ではなく、自主的な判断での休校なども尊重できる制度が必要ではないでしょうか。予報をうまく活用できるよう、いろいろな議論を重ねましょう。
(関西大学社会安全学部教授 一井康二)(2023-06-19・大阪夕刊・国際・3社掲載)