逆算から見る安全

こんにちは、ゼミでは書記を担当している中田です.今回も前回に引き続き『安全と私』というテーマで,社会安全学部性が持つ「安全観」をお届けしたいと思います.

私にとって安全は,「逆算的な思考の上に成り立つ負の影響が最も少ない事象」です.

この考えに至ったのは,朝井リョウの『何様』という小説を読んだことがきっかけです.

この小説は6編で構成されている短編小説で,読みやすく僕の好きな小説の一つです.その1編に『逆算』というものがあるのですが,主人公は日ごろから「逆算」を意識して生活していることが話の中で明確に描写されています.

例えば,「私は一日のうちに,何度も逆算する.小銭ができるだけ少なく帰ってくるように.始業の時間に遅刻しないように.」という1節からも,その様子が垣間見えます.

正直に言えば、この1編自体は安全とは全く関係のない話なのですが,実際僕たちも一日の中で無意識とは言え,「安全」に生活するためにかなりの頻度で逆算を行っているといえるでしょう.例えば,電車通学の人は,朝起きて,電車が発車する時間に間に合うように顔を洗ったり,化粧をしたり,朝ごはんを食べたり,はたまた食べなかったりするでしょう.つまりは負の影響,この場合は遅刻をするという可能性をできるだけ取り除き,よりよい結果や事象,この場合は時間通りに登校するという好ましい結果に至ろうとしているといえます.

このように我々は逆算をかなりの頻度で生活に利用して暮らしているといえるわけですが,この「逆算」を見つめなおしてみると,我々人類のより深い「安全」の理解につながるかもしれませんね.

「了」

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次回の『安全と私』は中塚がお届けします。