熊本城の石垣のレーザー計測

小山ゼミ,3回生の清水勇吹です。

11月20日、小山ゼミのレーザー計測部隊(先生を含めて4名)で熊本城の石垣のレーザー計測を行いました,当日は,熊本城調査研究所の方にも同行いただき,石垣の現状の復旧状況や将来の修復計画などを教えていただきました.

これまで小山ゼミでは2016年4月の熊本地震直後から年に2~3回の頻度で熊本城の石垣のレーザー計測をしていますが,今回は9回目の調査になります.
 レーザー計測には,学部で所有している3Dレーザースキャナを用います.大変高価な機械(600万円くらいします!)で 重さも20kgほどあり,振動を与えると機器に悪影響を与えるため,計測地点から次の計測地点まで持ち運んで移動する際には,細心の注意を払わなければなりません.
写真は櫨方三階櫓横の石垣の計測の様子です.石垣の上部が前方に押し出されており,降雨などにより変位が進行しないように簡易的にシートがかけられています.

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宇土櫓の石垣については,複数回に分けて計測を行い詳細なデータを収集しました.宇土櫓は国の重要文化財に指定されており,外観からは分からないのですが,2016年の熊本地震で櫓内部は大きく損傷し,近い将来,櫓の解体・修復が計画されているそうです.その際,地震では崩壊しなかったものの大きく変形した石垣をどの範囲でどのように修復するかについては未ださまざまな議論がなされているそうです.写真は,加藤神社の脇から宇土櫓を望むように今回の参加メンバーで撮ったものです.

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宇土櫓の計測は,関係者以外は入れない堀の中まで下りて行いました.堀の下までおりて間近で石垣を観察すると,石垣の孕み出しや変形の様子がよくわかりました.

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次の写真は天守閣の修復の様子です.天守閣の修復はかなり進んでいました.新しい漆喰のおかげで全体的に白っぽくなっており,地震前の写真を見ると,熊本城の天守閣は黒いという印象がありましたが,それとは異なるものになっていました.築城当初はこのように白かったのかもしれません.

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われわれが計測の対象としているのは,地震で崩壊は免れたものの大きく変形した石垣ですが,熊本城の石垣の中には,大きく崩壊してしまったものを数多くあります.このような石垣については,さらに崩壊しないように吹付コンクリートで固められていたり,落石防止ネットがかけられていたしりしました.
熊本地震の発生から,すでに3年半近くの年月が経ちましたが,依然として全く手が付けられていない石垣もあり,完全に元の姿に戻るためにはまだまだ時間を要するように感じました.