ゼミ紹介 Research FOCUS(堀ゼミ)

Hori Seminar 「ユーザ目線で掴む、デザインの本質。」堀 雅洋 教授
【堀教授のモットー】「あきらめない」私は学生の提案にとことんダメだしをします。自分のアイディアを周囲に納得させるために妥協せず試行錯誤を繰り返すことで、しっかりとした企画力・構想力が身に付きます。学生にはその感覚を掴んでほしいと思っています。

作り手本意ではないユーザ目線にたったモノ作りとは?

"ユーザ中心デザイン"という言葉があります。今この総合情報学部のサイトをご覧になっている受験生や高校生なら聞いたことがあるかもしれません。これは、"ユーザの意見を取り入れながら、使いやすさに配慮してモノをデザインしていく" という意味で、このゼミを語るキーワードといえます。みなさんも、コンテンツが豊富なWebサイトなのに必要な情報がすぐに探せない、最新機能を備えたスマートフォンなのに使い方がよく分からない、そんな経験ありませんか?

Webコンテンツや情報端末はもちろんのこと、窓口サービスや店舗の商品レイアウトなど様々な場面で、モノの価値を作り手からユーザに伝えるためにデザインを工夫する、といった発想が求められています。ゼミに入った3回生はまず、コンテンツ制作やアプリ開発を行うグループワークを通じて、作り手の思いや意図が第三者にどう伝わるのか意識するようになります。そして、ユーザの立場から対象を見つめ、モノの使いやすさについて一段掘り下げて考える姿勢を学びます。学生は視野を広げながら自身の方向性を模索し、研究テーマを見つけていきます。卒業研究では、独自の工夫を織り込んだソフトウエアやWebデザインを提案し制作することもあります。ただし、このゼミではモノを作っただけで満足するのではなく、それが作り手の意図した通りに理解してもらえるかユーザに評価してもらいます。それによって自分の着想を客観的に見つめ直す。そこにこそ意味があると考えています。

モノの見た目や外観を整えることだけがデザインではない。デザインの本質を考える。

多くの人が "デザイン" を、主観や直感に基づいて創作したアート作品、服飾や車、ポスターなどの形や色(意匠)をさすものとして捉えています。もちろんデザインにはそういった要素もありますが、それは一側面でしかありません。本来の意味でのデザインとは、対象となる"何か"に意味を与え、その価値をユーザに伝えていくための工夫やしくみを考えることです。しかし、対象となる"何か"に形があるとは限りません。情報をどのように整理し体系化するかを考えればそれは情報デザインですし、消費者が購入しやすい売り場の配置を考える場合は空間デザインです。使いやすい製品やユーザインタフェースをデザインすることは、対象となるモノの機能や表現を通して作り手とユーザのコミュニケーションを考えることだといえるでしょう。

ある学生はWebサイトのナビゲーションにおけるアイコンの図柄の違いが、ユーザの理解にどのような変化をもたらすのかに着目し、言葉と視覚的な表現の関係性を研究しています。既に広く利用されているシステムやデザインが本当に使いやすい構造になっているのか、常識を疑い、自らの力で問題点を見つけ出すことのできる冷静な視点を持つことを学生に期待しています。納得のゆく解決方法にたどり着くことは簡単ではありませんが、目前の課題を異なる角度から多面的に捉えられる柔軟な発想力を身に付けて欲しい、そう考えています。

students' COMMENTS

学部生と院生が共に学び刺激し合うのが堀ゼミ

堀ゼミは3回生から大学院生までが一緒になって活動するゼミなので、いい意味で上下関係がありません。お互いの研究について激しく意見を交わすこともしばしば。そんなゼミ生をまとめる堀先生のイメージを一言で言うと冷静な先生。学生の提出したレポートの問題点やツメの甘いポイントを淡々と指摘されている姿をよくみかけます(笑)。授業での先生しか知らない学生には堅いイメージがあるみたいですけど、ゼミで感じる印象は違いますね。雑談もお好きですし、学会で海外に行かれた時のお話をおみやげ片手によくしてくださるので、ゼミ生はいつも楽しみにしています。

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自分ととことん向き合って磨きあげる研究テーマ

逆にゼミ生が一番苦しむのは研究テーマを決める時。学生自身がどう考え、どんな問題意識や考えを持って研究に臨もうとしているのか、先生は何度も私たちに問いかけます。その点についての妥協はありませんね。ゼミ生はこうした先生とのやり取りの中で、自分のテーマを磨きあげて行きます。そうして生まれる研究テーマは千差万別で../す。
タブレット端末の操作デザインを考えたり、中には自分の作品をデザインコンテストに出展して、入賞作品と自分の作品を比較・分析する学生もいます。ここには、それぞれの研究テーマを持つゼミ生同士が刺激し合いながら、切磋琢磨できる環境がありますよ。

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