関西大学 3研究所 研究者インタビュー
多様な“色”を持った研究者が
共通のテーマのもとに集い、
政治を“真ん中”ではなく
“境界線”の分野から考察。
01法学研究所「インターフェース政治研究班」
発足の経緯について教えてください。
政治と政治でない分野との接点、
インターフェースの探究を目的にスタート
私自身は、1960年代にアメリカの社会学者、ハロルド・ガーフィンケルが提唱したエスノメソドロジーという手法を用いた政治理論の研究を行っています。エスノメソドロジーは、人々の日常会話や何気ない行動などから社会の暗黙のルールや規範などを読み解く分野ですが、それを政治学の領域に応用。政治に関わる学問領域の“真ん中”ではなく、社会学や言語哲学といった分野との“境界線”から政治を読み解く作業を続けています。
そんななか、2023年度に私が研究者に呼びかける形で法学研究所内に新たな研究班が発足。専門分野やアプローチの方法は違えど同じ問題意識を共有し、政治と政治でない分野との“接点(インターフェース)”を探究することを目的に「インターフェース政治研究班」がスタートしました。

02研究班で取り組んでいる課題やテーマは何ですか?
班としての活動や成果などについてもお聞かせください。
社会運動と消費行動をテーマに
大枠のシステムを構築し構成する細部を追究
政治学の世界ではあまり扱ってこなかった、社会運動と消費行動をテーマに研究に取り組んでいます。私の役割は、社会を大きなひとつのシステムと捉える理論をベースに、私たちの日常と政治が接することで、どのような政治現象が起きるのかを探ること。ただ、大枠を考える哲学的なアプローチになるため、個々を科学的、実証的に深掘りする作業は他のメンバーが分担する形で行っています。
研究班には、データサイエンスを活用して政治現象を探究する。あるいは、社会に分け入りフィールドワーク中心に研究活動を行うといった、それぞれ異なる手法を用いて探究を行う研究者が参加しています。2025年には、そうした研究班のメンバーを含めた共著で、『インフォーマルな政治の探究』を発刊しました。日常生活と接するインフォーマルな部分にフォーカスを当てることで、これまでの主流である“フォーマルな政治学”を多角的に捉え直すヒントが隠されているのではないか。そういった、興味深い内容にまとめることができました。

03研究所の活動についてどんな目標をお持ちですか?
研究班あるいは、研究員としての意気込みをお聞かせください。
日常と政治の接点から得られた知見を
広く一般に周知する啓蒙的なポジションへ
政治的な権力とは、それを振るう立場にある支配者が行使するというのが一般的なイメージでしょう。しかし実際には、SNSから行政窓口での職員による恣意的な誘導まで、日々の生活においても意思決定を左右する力が存在しています。陰謀論の拡散といった、さまざまな現象を分析し日常に潜む力を政治的権力として捉えることで、現代社会が置かれている状況を明らかにしたい。それが研究員としての目下の目標です。
こうして、日常生活と政治の接点で生じる現象から得られた知見を一般社会に周知することで、人々の政治に対する正しい理解が深まる。そのような啓蒙的なポジションを目指し、今後も各研究員の“色”を生かしながら共通のテーマのもと研究を進めていきたい考えです。来年度は、さらに充実した体制を整え前進していく予定です。「インターフェース政治研究班」の活動に、ご期待ください。

PROFILE

西山 真司教授
Professor NISHIYAMA Shinji
関西大学政策創造学部教授。専門分野は政治学、政治理論。研究テーマは日常言語哲学にもとづくエスノメソドロジーを応用した政治理論研究。