※画像は2023年度のものです。※画像は202年度のものです。

聴覚障がい学生の支援

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聴覚障がいとは

 音をきく、または感じる経路になんらかの障がいがあり、話し言葉や周囲の音がきこえなくなったり、ききづらくなる状態を「聴覚障がい」といいます。
 聴覚障がいのある学生は、話し言葉のきき取りに困難を示すことが多いため、大学生活においては授業中に先生の話がわからないなどの問題が生じます。
 【参照】教職員のための障害学生修学支援ガイド(平成26年度改訂版) 日本学生支援機構

障がいのある学生からの質問

授業中の先生の説明や周りの学生の発言をきき取ることができません。
関西大学の合理的配慮の例を教えてください。
合理的配慮の内容については、学生相談・支援センター、所属学部・研究科、関係部署のスタッフ等を交えた面談のうえで決定されます。聴覚障がいのある学生に対して、関西大学では主に以下のような合理的配慮を行っています。

合理的配慮の例

ノートテイク

 話の内容やその場で起こっていること(学生の発言や教室内の状況まで)を文字にして伝える筆記通訳のことです。話している内容の30~50%を伝えることができるといわれています。手書きで要約しながら書くので情報量は限られますが、特別な機材の必要がなく、数式や図表、グラフ等が使用される授業に適しています。

パソコンテイク

 話の内容やその場で起こっていること(学生の発言や教室内の状況まで)をパソコンに打ち込んで伝えます。2台のパソコン(2人の支援者)で連携して音声情報を文字にします。
 話している内容の60~80%を伝えることができるといわれています。ほぼリアルタイムで音声情報が文字化され、情報量が多いのが特徴です。

字幕付け

 映像教材に字幕を挿入します。

文字起こし

 映像教材の音声情報を文字データにします。

デジタル補聴援助システムの活用

 話者が専用マイクを使用することで、聴覚障がい学生の補聴器に音声を直接届けることができます。グループワーク等での活用も有効な他、他の周辺機器と組み合わせて使用することで、多彩な情報保障を行うことができます。

音声認識アプリの活用

 音声情報をアプリを介して文字情報に自動変換します。日常会話レベルの認識率はかなり高く、また他の機器と併用することで字幕を付与することもできます。

支援メニューを利用している学生の声

コミュニケーションの大切さ

経済学部 経済学科 3年
(学年は2022年度当時)

 私は聴覚障がいがあり、音声をはっきりと認識することが難しく、授業や会話の内容がほとんど理解できません。高校まではろう学校に通っており、そこでのコミュニケーションはすべて手話を使って行われていたため、授業の内容が理解できないのは大学に入ってからが初めての経験でした。
 そのため大学の授業は情報保障を受けながら受講していました。この情報保障の方法については、学生相談・支援センターのコーディネーターと相談しながら決めました。
 経済学部の授業は先生の話す量が多くパソコンテイクを活用していましたが、3年生からはゼミやプレゼン型の講義、数式を多用する講義など授業の内容の幅が広くなりました。特に聞き取りが難しい授業では、コーディネーターや学生支援スタッフを交えて話し合い、より良い方法を模索しました。例えばゼミの場合は少人数でのグループ作業が多く、パソコンテイクは不向きであると判断したため、音声認識アプリを活用しました。また、プレゼン型の講義はパソコンテイクと音声認識アプリのハイブリッド形式を取り入れました。さらに、数式が多い授業では、テイカーと事前に表示方法について相談し、共通のルールを決めておくなど、工夫を凝らしました。
 このような支援のおかげで、授業を楽しく受けることができ、コミュニケーションの重要性を理解することができました。これまで聴者とのコミュニケーションでは、うまくいかないことが多く避けることが多かったのですが、積極的にコミュニケーションをはかることで、自分の人生はより良いものになるということに気づけました。
 もし皆さんが「先生の話が分からない...」「大学生活で困っている...」と感じたら、学生相談・支援センターに相談してみてください。より良い大学生活を送るための一歩になると確信しています。

周囲の人に知っておいてほしいこと

 聴覚障がいは外見上わかりにくい障がいであり、他の人からは気づかれにくい面があります。まったくきこえない人や、近くの音声ならきこえる人など、障がいの程度はさまざまです。

コミュニケーションの方法

 聴覚障がいのある学生とのコミュニケーションには、口話(こうわ)、筆談、手話等のほか、身振りなどさまざまな方法を用いることができます。一般的に「聴覚障がい=手話」と思われがちですが、高校まで特別支援学校以外の学校で教育を受けた学生の多くは手話を用いずに口話や筆談を主なコミュニケーション方法としていることも少なくありません。
 大切なことは、積極的にコミュニケーションをとろうとすること、内容が伝わったことを確認することです。
 手話については、学生相談・支援センター主催の手話講座を開催していますので、関心のある人は学生相談・支援センターにお問い合わせください。

ディスカッションやグループでの話し合いのとき

 複数の受講生が同時に発言すると、聴覚障がいのある学生は議論の内容を把握することが困難になりますので、発言の際は手を挙げてから発言するなど、発言者は誰かが視覚的にわかるように配慮する必要があります。また、発言する際は、できるだけ聴覚障がいのある学生に顔を向けて話すようにしてください。

聴覚障がいのある学生とのコミュニケーションで心がけてもらいたいこと

  • 音声だけで話すことはできるだけ避けて、視覚情報を併用してください。
  • 極端に早口になり過ぎないようにしてください。
  • 同時に複数の人が話さないようにしてください。
  • できるだけ顔を向けて話してください。
手話講座

 手話は手指や顔の表情などを用いて伝達する手段で、五十音に対応する指文字と手話単語によって構成されています。手話は2011年8月に改正された障害者基本法において、「言語の一つ」と位置づけられています。また、障害者の権利に関する条約においても『「言語」とは、音声言語および手話その他の形態の非音声言語をいう』と定義づけられており、今後、手話による意思疎通や情報取得の機会拡大が求められています。手話を利用することで、耳の不自由な方とのコミュニケーションに生かすことができます。
 関西大学では、千里山キャンパスで春学期に初級講座、秋学期に初級講座・中級講座を無料で開講しています。
 募集案内等の詳細については、インフォメーションシステムでご案内します。
 学内で学べる、この機会に学んでみませんか!

手話講座の案内チラシ

手話講座の案内チラシ
※画像は2023年度のものです。