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【執行部リレーコラム】格差社会を考える

2017.03.29

学長補佐 岡田 忠克
 2月末から海外での研修プログラムである「国際健康福祉実習」のために、学生を引率してハワイに滞在していました。滞在中、世界有数のリゾート地が抱える現実を見ることができました。それはホームレスの多さです。日本人観光客が多く訪れるワイキキやアラモアナから西に少し行くとチャイナタウンやカカアコ地区があります。

 近年、ダウンタウンやその周辺にコンドミニアムの建設ラッシュが凄まじいですが、そのあおりを受けて、ホームレスとなっている社会的に立場の弱い人びとがさらに西へと移り住み、排除されているのです。

 なぜハワイにホームレスか、いくつか要因はありますが、一つは暖かく過ごしやすい気候であることが挙げられます。温暖な気候のため凍死することはなく、非営利団体等による炊き出しが各地で行われていて、食に困らない、生活しやすい環境があるのです。州政府もアメリカ本土への航空チケットを提供するなど策を講じていますが、ホームレスの数がなかなか減少しない現実がそこにあります。

 研修プログラムでは、Waikiki Health Centerが運営するホームレス保護施設、Next Step Shelterを見学させていただきました。大きな倉庫を改装し、建物の中をパーテションで区切って部屋を作っています。男性用、女性用、ファミリー用の区画がありました。そこでは州政府の補助を財源に、次のステップを踏んで新たな生活を目指すホームレスが住んでいます。シェルターのディレクターからハワイにおける貧困問題、ホームレス事情を伺い、学生たちも真剣な表情で質問をして説明に聞き入っていました。

 ここからホテルに戻る途中、アメリカのトランプ大統領が経営する立派なホテル、トランプタワーの前を通りました。富めるものはさらに富を独占していく。これが格差社会、階層社会アメリカの現実です。



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