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【執行部リレーコラム】大学生の夏休み

2018.09.21

副学長 奥 和義

 先日、関西大学教育後援会の地方教育懇談会に出席する機会があり、朝のニュースを見るつもりでTVをつけたところ、たまたま、『チコちゃんに叱られる』という番組を見ることができた。評判はいろいろなところから聞いていたが、初めてじっくり見た。それこそ、チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねえよ!」とどやしつけられそうである。
 これはNHKで放送されているクイズバラエティ番組であるが、この回のクイズに、「夏休みはなぜあるの?」というのがあった。さて、夏休みとは。夏の長期休暇は、諸外国でも多くの教育機関で設けられている制度であり、それは当該国の歴史的文化的背景をもとに期間設定もさまざまである。番組では、小中学校の夏休みがメインテーマで、日本では先生がその期間を利用して通常できないさまざまな仕事をしていることが紹介されていた。文部科学省にも、しっかりと聞き取りされたようで、導入時の資料などが残っていないために、正確な導入の理由はわからないとのことであった。
 さて、大学生の諸君は、夏休みをどのように過ごしたのであろうか。新入生の諸君は、入学式で学長から紹介のあった『100冊の本』を何冊読破したのだろう。あるいは、各学部や国際部の主催する海外学習プログラムに参加して外国語のブラッシュアップや異文化体験で刺激を受け、スキルアップを図ることができたのであろうか。また部活やサークル活動の合宿で身体も精神も一回り大きく成長させたのであろうか。
 「先生は何してたんですか?」と学生に聞かれそうである。自分が大学1年生の時には、経済学部に入ったのだからと、アダム・スミスの『国富論』(岩波文庫版)を読んだ記憶がある。「訳がわかりにくいなあ」とブツブツ言いながら、また高校の教科書に書かれていた「『神の見えざる手』という言葉がいつ出てくんねん」と文句を言いつつ、5冊本(当時の岩波文庫版、現在は4分冊)を読んでいたのを思い出す。研究教育者として専任の職を得てからは、夏休みは、学期中にできなかった資料収集のための出張、資料の読了、各種原稿の執筆など、多くの仕事ができる期間でもあった。
 学期中は授業と会議、休暇期間は研究活動と、大学の先生は、ボーッと生きてはいられない。