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【執行部リレーコラム】学生が自分たちで大学の広報を行うプロジェクト

2018.05.30

副学長 高増 明

「大学の良さを社会や高校生にどのように伝えたらいいのか」という広報の問題は、大学にとって、ますます重要になっています。

 でも、どうしたらいいのかは、大学の教職員にはよくわからないので、広告代理店に多額の費用を払って、イメージ戦略を考えてもらい、それにあった広告、ビデオ、webなどを作ってもらうことが普通です。

 そうして完成したものは、プロが作っているので確かにきれいにできているのですが、残念ながら、多くの人々、特に大学が最も重要視している高校生にはアピールしていないことが多いのも現実です。

 たとえば、YouTubeで見ることができる大学の紹介ビデオの視聴回数は、東京大学の高校生向けのビデオでも3年間で55,000回、一般向けの大学紹介ビデオは5か月間で6,500回です。われわれからみても、「よくできているな」と思う海外向けのThe University of Tokyo:Explorer (Official Video)でも、4年間で16万回です。

 関西大学だと数字は、さらに小さくなって、入試センターが作成した「このキャンパスで考動が始まる」は、3年間で13,000回です。文部科学省私立大学研究ブランディング事業に選定された、関大の看板である「オープン・プラットフォームが開く関大の東アジア文化研究」の紹介ビデオは、現時点(5月13日)では、わずか252回でした。

 このような数字は、志願者数が9万人を超え、学園祭やオープンキャンパスに数万人が訪れる関西大学としては、寂しいものだと言わざるをえません。他の大学についても事情は同様だと思います。

 その一方で、今、人気のあるYou Tuberのビデオは、私のような人間からみると、どこがおもしろいのか、よくわからないものも多いのですが、視聴回数が数百万回を超えているのが、あたりまえです。

 高校生は、どのようなビデオを視たいと思うのでしょうか?どのような広報がアピールするのでしょうか? これは、大学の教職員にはわかりませんし、広告代理店にもわからないのだと思います。それを直感的に理解しているのは、おそらく高校生に一番近い、大学生でしょう。

 というようなことを考えて、昨年の終わりに大学生が自分たちで関西大学に関連する「おもしろいもの」を紹介する広報プロジェクトをスタートさせました。それが「関西大学学生PRチームSUGaO」です。

 「SUGaO」という名前は、学生が自分たちで決めたのですが、学生が考える関西大学のイメージが「かざらない」「気取らない」「自然な」「ありのままの」というもので、「素顔」に近いからです。

 ただ、いきなり大学生だけでやるのはむずかしいので、私が参加するとともに、関西大学の特任教授もされているプロデューサー・タレントの越前屋俵太さんにも手伝ってもらうことになりました。

 レコード会社の経営を通じて、私も、ビデオやweb、リーフレット、フライヤーなどを作るので、コンテンツ制作は一応できますし、一般の教職員よりは、学生の感覚に近いところはありますが、それでも、どのようなものを一般の人々がおもしろいと思ってくれるのかについては、自信がありません。

 そこで、以前、「探偵ナイトスクープ」という番組を立ち上げて、一般の人を巻き込んだ番組制作を日本ではじめて創り出した越前屋俵太さんにサポートをしてもらうことにしました。

 学生に呼びかけたところ、広報に関心をもっていて、かつ、他の大学にはない関西大学の良さを伝えようという熱い想いをもっている学生が10人ほど集まってくれました。

 現在は、関西大学に関係する人間やモノ、場所、食べ物などで、自分たちがおもしろいと思うものを取材してビデオを制作し、動画サイトにアップロードすることをしています。まだまだ、視聴回数も少ないのですが、いずれ、多くの高校生が見てくれるようなものが出てくるのではないかと期待しています。

 興味がある方は、以下のWebを見てください。
関西大学学生PRチームSUGaOのweb

 また、このような広報に関心をもつ学生のみなさんも、ぜひ参加してください。

 先日、台湾の実践大学の陳振貴学長と国際交流室長の呉さんが、大阪に来られたときに、実践大学では、実践大学の学生が海外から訪問される学生や教職員の案内をしたり、国際交流についての広報を担当していて、それが大きな成果を上げているという話をしてくれました。Student Ambassadorと呼んでいるそうです。

 自分の大学の良さを知っていて、それを正直に伝えることができるのは学生だということは、どこでも共通なのだと思いました。

 したがって、学生の広報が成果を上げることができるのかを決めるのは、どのようにスキルと意欲をもった学生を育てることができるのか、学生による広報のプロジェクトが継続するような仕組みを作ることができるのかという点にあるのでしょう。

 うまくいくかはわかりませんが、楽しみながら、頑張っていこうと考えています。


関西大学学生PRチームSUGaOのweb
関西大学学生PRチームSUGaOのweb
ビデオを紹介するページ
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